豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2001/02年度のバターおよびバターオイルの生産は増加


● ● ●バターは前年度比2.9%増 ● ● ●

 豪州酪農庁(ADC)によると、2001/02年度(7〜6月)のバター生産量は、前
年度比2.9%増の約9万9千トン(暫定値)となった。これは、主に家庭におけ
るバター消費が全般的に順調であったためとみられる。豪州のバター消費は、
消費者が動物性脂肪を敬遠する傾向が強くなっていることから減少傾向となっ
ている。しかし、消費者がスプレッド類としてのバターの利便性を求める傾向
が強くなっていることから、バターと植物性油脂との混合物製品の売り上げは
伸びている。これがバター消費の下支えとなっている。近年の国内バター消費
量は1人当たり3キログラム前後で推移し、2000/01年度は2.9キログラムと
なっている。

 なお、輸出量については、主要輸出先であるエジプトなど北アフリカ諸国向け
がほぼ半減したことなどから、22.1%減の約4万4千トンとなった。輸出全体の
約3割を占める韓国やシンガポールなどアジア向けは、0.9%減の約1万8千ト
ンとなった。

◇図:豪州のバター生産量と輸出量の推移◇


● ● ● バターオイルは2.0%増 ● ● ●

 また、バターオイルの生産量は、輸出の増加により前年度比2.0%増の約6万5
千トンとなった。バターオイルは、保存性が非常に高いことから製菓やアイス
クリーム、還元乳などの原料としてその多くが輸出されている。

 輸出量については、主要輸出先であるメキシコなどのアメリカ諸国、アラブ首
長国連邦などの中近東諸国向けなどが大幅に増加したことから、21.9%増の約6
万5千トンと、生産量のほぼ全てが輸出に向けられたこととなった。特に中近
東諸国は1999/2000年度を除き増加が続いており、2001/02年度は45.2%増の
約1万トンとなった。しかし、輸出全体の4割近くを占めるシンガポールやイ
ンドネシアなどのアジア向けは、0.9%減の約2万5千トンとなった。

 ちなみに、バターおよびバターオイル合計の生産量は、前年度比2.6%増の約16
万4千トン、輸出量は0.8%減の約10万8千トンとなった。

◇図:バターオイル生産量と輸出量の推移◇


● ● ● 今後短期的には生産減も長期的には回復 ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)がこのほど発表した2007/08年度までの「長期
需給予測」によれば、豪州のバターおよびバターオイル生産は、干ばつの影響
で生乳生産量が落ち込むことなどから、2003/04年度(14万6千トン)まで減
少が見込まれている。2004/05年度からは生乳生産の回復とともに増加し、国
際需要があまり芳しくない中で主に輸出の増加により、2007/08年度は2001/
02年度には及ばないものの、16万3千トンと予測している。国内消費が伸びな
いと予想される中、このように主に輸出増加により生産増加を予測しているこ
とは、豪州がバターなど乳製品の国際競争力に自信を持っている表れと言えよ
う。


元のページに戻る