EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減少が続く乳用経産牛飼養頭数


● ● ● 前年同期比3.2%減 ● ● ●

 EU統計局(EUROSTAT)によると、2002年11月または12月時点におけるEU15
カ国の乳用経産牛の飼養頭数は、前年同期に比べて3.2%減の1,951万7千頭と
なった。EUにおける乳用経産牛の飼養頭数は、90年代初めから減少が続いてい
る。



● ● ● イギリス、ポルトガルを除く13カ国で前年を下回る ● ● ●

 EU15カ国の乳用経産牛の飼養動向を国別に見ると、イギリス、ポルトガルを除
く13カ国において前年を下回った。EUの主要酪農国であるフランスについて
は、2001年においては、牛海綿状脳状(BSE)問題の再燃による農場保留の増
加などにより前年を上回ったが、今年については、前年比1.5%減の413万3千
頭となった。

 このほかの主要酪農生産国では、ドイツで同2.4%減の436万7千頭、イタリア
で同11.9%減の191万1千頭、オランダで同0.3%減の154万6千頭となってい
る。

 一方、イギリスは、2001年には口蹄疫の大発生による影響から、その前年を5.8%
下回ることとなったが、2002年には、前年比1.6%増の223万9千頭となった。

◇図:国別経産牛飼養頭数◇


● ● ● 技術の向上により増加する1頭当たりの乳量 ● ● ●

 このように乳用牛の飼養頭数は減少傾向が続いているが、生乳の生産量は、遺
伝的能力や飼養管理技術の向上などによる1頭当たりの乳量の増加から、毎年
増加している。

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によれば、2001年のEUの乳用経産牛1
頭当たりの年間乳量は、前年比2.6%増の6千キログラムとなっている。これは
10年前の91年と比べると26%増、約1,200キログラムの増加である。

 1頭当たりの年間乳量を国別に見ると、ほとんどの国で前年を上回っている。ス
ウェーデンが最大で前年比1.9%増の7,980キログラム、オランダ7,415キログ
ラム、デンマーク7,300キログラム、フィンランド6,600キログラムとなってい
る。これに対し、ギリシャでは、3,800キログラムと乳量が多い国とは約半分と
かなりの差がある。

◇図:EU各国別乳用経産牛1頭当たり年間乳量◇

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