ウルグアイで国際食肉事務局地域会議が開催 ● ウルグアイ


地域会議に多くの関係者が出席

 3月31日から4月1日にかけて、ウルグアイのプンタデルエステ市で、国際
食肉事務局(IMS)の地域会議が開催された。地元ウルグアイからの参加者が7
割弱を占めたが、ブラジル、アルゼンチンの南米諸国、北アメリカ、EU、太平
洋州などから全24カ国、約600名の食肉関係者が集まった。

 開会に当たってウルグアイのバジェ大統領があいさつに立ち、その後の講演
も聴講するなどウルグアイにおける畜産の重要性が感じられた。


講演テーマは消費動向が中心

 地域会議はテーマ毎に2〜5名が講演し、その後質疑応答を実施する形式
で進められた。

 講演テーマは、@食肉に関する世界の生産、消費および貿易の展望、A家畜
衛生および市場アクセス、B消費者の信頼回復への課題、C食肉にかかる農業
交渉の4つからなり、米国、EU、オーストラリアからの講演者が多かった。

 講演内容の要約は以下の通り。

 @ 発展途上国の経済成長に伴い、食肉需要は増加する一方、牛海綿状脳症
  (BSE)や口蹄疫等の家畜伝染病の問題から先進国における牛肉輸入量は激減し
  ている。また、先進国ではBSE問題や健康志向に伴いホワイトミート(豚肉、
  鶏肉)の消費が伸びている。今後は衛生対策を徹底するとともに、品質向上が
  必要である。

 A 衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)に基づいた検疫措置
  の実施や各国は衛生状態を正確に把握し、公表することが重要である。

 B 食の信頼回復には、トレーサビリティー(追跡可能性)システムの導入、
  適正な表示の義務化などは大きな要素であるが、消費者はそれだけで満足はし
  ない。高齢化、健康志向、肥満問題などにも対応した品質の向上、商品の高付
  加価値化(有機製品、ブランド化)なども挙げられる。

 C 輸出補助金や国内助成の削減、検疫措置の適正化を求めるとともに、一
  部の国は口蹄疫ワクチン不接種清浄国からしか牛肉を輸入しないが、その理由
  を科学的に説明する必要がある、また非貿易的関心事項は、先進国の言い訳で
  はないかとの意見もあった。


質疑応答時には厳しい応酬も見られた

 テーマ毎の講演終了後には活発な質疑応答が行われた。
 
 ・ 中国の牛肉消費動向は?

   13億の人口がそのまま消費量に結びつくわけではなく、消費者の購買力
  やニーズを考える必要がある。

 ・ 食品の安全性を求める声が高まっているがどう思うか?

   安全性を求めて理論的な概念で衛生管理を徹底しても、リスクは存在し
  ている。ゼロリスクはあり得ない。

 ・ 製品の差別化を推進するポイントは何か?

   販売業者が生産者と連携して正確な情報を消費者に提供するとともに、
  消費者からのニーズを生産者にフィードバックすることである。

 ・ 家畜伝染病の発生を通告しない国に対して罰則を科すべきではないか?

  (2001年4月、ウルグアイで発生した口蹄疫は、アルゼンチンからの発生通報
  が遅れたことが原因とする説がある)

   罰則よりも公的機関の情報の透明性が必要と考える。

 ・ 同時期に開催したWTO農業交渉においてモダリティがまとまらなかった
  が、ドーハラウンドは失敗したのか?

   答えはNoであり、国際貿易の推進のため今後とも協議を続けて行くこと
  が重要である。

注)IMSはパリに事務局を置き、食肉産業に関連する分野の発展に国際的なベ
ースで寄与する目的で1974年設立された。食肉需給や貿易動向に関する情報交
換等を目的として世界食肉会議(WMC)が総会と同時に2年に1回開催され、
地域会議はWMCの間に開催されている。



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