ブロイラー生産費の低減が急務 ● マレーシア


PS農場、南部と首都近郊に集中

 マレーシア農業省獣医局は、2002年のマレー半島諸州におけるブロイラー産
業の実態に関する調査結果と2003年の見込みを公表した。実態調査の対象は、
ペアレント・ストック(PS)農場とふ卵場であり、昨年6月から8月までの3
カ月間にわたり、PSの更新スケジュールなどのひなの生産に関する項目や品種
構成などを調査し、年間生産羽数などを推計する方法がとられている。

 調査結果によると2002年にブロイラー用素ひなを生産したのは、前年を2社
3農場上回る28社の66農場であった。農場の州別分布を見ると南部のジョホー
ル州が22農場で全体の33%を占めているほか、首都クアラルンプールを取り囲
むセランゴール州など4州に合計29農場が立地しており、ブロイラー農場の消
費地隣接型の立地を推定させるものとなっている。PS生産会社の規模別分類は、
年間生産羽数100万羽未満が3社、100万羽以上1千万羽未満が15社、1@@千
万羽以上4千万羽未満が8社、8@@千万羽以上1億2千万羽未満が2社となっ
ている。28社のうち、インテグレーターは5社だけだが、7@@月におけるPS
羽数はインテグレーターの飼養羽数が242万羽となっており、全体の58%を占
めていた。


素ひな供給が増加、品種数は減少

 2002年のブロイラー用素ひな供給羽数は前年を6.6%上回る4億2,401万羽で
あり、このうち国内産は4億2,211万羽であった。国内産のうち、インテグレー
ターの農場における生産分は62%となっており、前年を3ポイント上回った。
ブロイラー用素ひな価格は1羽当たり0.6〜1.5リンギ(約19〜48円:1リンギ
=32円)の範囲で変動した。PSの品種構成は、コブ(37%)、アーバー・エー
カー(33%)、ハバード(12%)、エビアン(10%)、ロス(8%)の5品種の
みであり、エビアンが前年の3分の1程度まで大幅に減少した。PSの素ひな導
入先は、約58%が国内に2社ある原種鶏農場、残りがEU(15%)、アメリカ・
カナダ(11%)、タイ(8%)、その他(7%)からの輸入となっている。


ブロイラー生産者の収益性が悪化

 2002年のブロイラー生産羽数は前年比4.6%増の3億9,972万羽となっており、
このうち約11%に相当する4,404万羽の生体鶏が主にシンガポールへ輸出され
た。このほか、6,940トンの鶏肉が主にシンガポールとブルネイへ輸出されてお
り、少量だが日本へも輸出されている。ブロイラーの農家出荷価格は生体重1
キログラム当たり1.6〜3.5リンギ(約51〜112円)の範囲で大幅に変動し、24
週間にわたって2.4〜2.8リンギ(約77〜90円)の範囲で変動した生産費を下回
った。年間の平均農家出荷価格は前年比5%安の同2.6リンギ(約83円)とな
っており、農家の収益性が悪化している。


生産コストの削減が急務

 獣医局は現在の1日当たりのブロイラー生産羽数である110万羽を需給均衡
状態と見ているが、PSの生産動向などを基にした2003年の生産見込みを同115
万羽、1年当たりの生産羽数を前年比4.8%増の4億2,071万羽と見込んでい
る。農家出荷価格のさらなる低下が避けられず、ブロイラー農家の経営状況は
ますます悪化すると予想している。同局は調製品などの需要により国内市場拡
大の可能性は大きいとしているが、主に原料となる国産ブロイラー高価格が障
害となってこの市場は輸入品が中心となっているため、ブロイラー農家の経営
状況の改善のためには鶏肉生産コストの削減と衛生状態の改善による新規需要
の開拓が不可欠であるとしている。



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