USTRに対する日本政府の反論


本報告書に対する日本政府の反論

 日本政府は4月17日、本報告書に関する反論をまとめUSTRに対し提出した。
うち牛肉および豚肉の輸入制度に関しては、国際約束上の正当性からも米側の
主張に対する対応は困難と拒絶、動物検疫措置等についても、事実誤認を指摘
し、米側の批判には当たらないとするなど、米側の一方的な記述に対する日本
側の反論を各項目について行なっている。

 各項目に対しての反論は以下の通り


牛肉の輸入制度

 牛肉の関税の緊急措置については、BSE発生という特殊事情により生じた問
題とはいえ、次の3点から日本政府として前向きには対応できない。
  
   (1) わが国はウルグアイ・ラウンドの際、厳しい国内生産事情の中でぎりぎ
      りの決断をして、ラウンドの合意で譲許した水準を上回る牛肉関税の自主的な
      引き下げ措置を受け入れた。緊急措置は、この措置に対する必要不可欠な代償
      としてパッケージで措置されたものであり、UR交渉での牛肉に対して決定した
      措置の自主的引下げ部分を見直さずに緊急措置のみを停止することは困難であ
      る。

   (2) 緊急措置は輸入量が一定レベルを超えると国内法に基づき自動発動する
      という特性を有しており、この仕組みは、裁量性を排し、措置発動の機動性・
      透明性を高める上で重要である。

   (3) 低い輸入レベルからの急速な輸入量の回復自体が国内生産に悪影響をも
      たらすおそれがあることは否定できない。
 

 なお、牛肉の緊急措置制度の一年延長を含む関税関係法案については、国会
において本措置の延長の是非を含む審議の後、与野党の多数を持って、可決・
成立しており、立法府の意思となっている。


豚肉の輸入制度

 わが国の豚肉輸入制度は、ウルグアイ・ラウンドにおいて米国を含む関係国
との交渉の結果合意されたものであり、WTO協定と整合的である。したがって、
米国の批判は妥当性を欠き、今になって米国がこのような批判を行なうことは
理解に苦しむ。


動物検疫措置等

 米国産家きん肉輸入については、米国内で発生した鳥インフルエンザについ
て両国専門家による協議の結果、発生州以外の地域からの輸出が可能となるよ
うに、昨年2月に畜産衛生条件を改正したところである。

 また、低病原性鳥インフルエンザの取扱いについては、昨年12月のOIE専門
家を交えた会合の結果を踏まえ、日米の家畜衛生当局間で技術的な協議を継続
しており、本年3月、新たな日本側の改正条件案を米国側に提示したところで
ある。


 なお、この他、日本政府のコメント(全文)は、以下の外務省のホームペー
ジから閲覧可能である。
(http://www.mofa.jp/mofaj/area/usa/keizai/ustr/index.html)



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