◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2002年の生体牛輸出頭数は、 前年比18.3%増の97万7,540頭と過去最高となった。豪州からの生体牛輸出は、 東南アジア向けを中心に90年代には増加傾向で推移していたが、アジア通貨下 落の影響により、98年には大きく減少した。99年以降は、アジア経済の復興に 伴い回復したが、97年の水準には届いていなかった。また、生体牛輸出額は、 輸出頭数が増加したことや、同年の豪州国内の肉牛価格が前年よりは低落した ものの比較的高値であったことから、前年度比13%増の6億1,300万豪ドル(約 441億3,600万円:1豪ドル=72円)と過去最高となった。
国別に見ると、最大の輸出市場であるインドネシア向けは、前年度比48.3% 増の42万8,486頭と大幅に増加した。これは、インドネシアのルピアが堅調に 推移したことと豪州の肉牛価格が2001年と比較して安かったことが輸出量の増 加につながり、97年の輸出頭数(42万8,077頭)を上回った。 第2の輸出先であるエジプト向けは、前年比26.8%減の14万9,771頭となった。 エジプト経済の低迷や観光業の停滞などにより需要が減退し、輸出を減少させ ている。 その他の主要市場であるフィリピン、マレーシアは、2001年にはそれぞれ自 国通貨の安値により減少したが、インドネシアと同様に堅調な経済成長を要因 に、前年と比較してそれぞれ16.0%、16.4%増加している。また、一貫した増 加傾向となっていた中東向けは、2002年についても前年比17.8%増の10万2,13 1頭と増加した。
MLAが2月上旬に発表した中期需給予測によると、干ばつの影響により肉牛供 給の減少が見込まれることから、2003年の生体牛輸出頭数は前年比3%減と予 測している。2004年にさらに減少した後、東南アジアからの強い需要を受けて 2005年には増加に転じ、2006年には記録を更新すると予測している。 ◇図:生体牛の国別輸出量の推移◇
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