米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肉用牛の卸売価格は、粗飼料のひっ迫等による飼養頭数の減少により上昇


● ● ● 総飼養頭数は前年比0.6%減 ● ● ●

 米農務省(USDA)が公表した牛飼養動向調査によると、2003年1月1日現在の
牛総飼養頭数は前年比0.6%減の9,611万頭となった。今回の調査の結果、キャ
トルサイクルは、1996年をピークに減少に転じたが、7年連続で減少しており、
未だ下降局面にあることが明らかとなった。

 牛群構築の指標となる繁殖用雌牛頭数は、前年比0.3%減の4,201万頭となっ
ており、その内訳を見ると、肉専用種は同0.5%減の3,295万頭、乳用種は同0.
4%増の915万頭となっている。また、500ポンド(約227キログラム)以上の肥
育去勢牛についても同0.4%減の1,659万頭となっている。

◇図:牛の総飼養頭数の推移◇


● ● ● 乾牧草の在庫はひっ迫 ● ● ●

 2002年12月の乾草の在庫は年度当初を6%下回り、1997年以降同時期におけ
る最も低い水準となった。この理由としては、3月から12月にかけての干ばつ
による影響により放牧期間が限られ、乾牧草の給与期間が長くなったことが挙
げられる。

 乾牧草の在庫が減少しているにもかかわらず、乾牧草の平均取引価格は年度
当初よりも1トン当たり3ドル安くなっている。肉用牛頭数の減少や穀物飼料の
供給を巡る状況の改善にもかかわらず、牛肉産業における乾牧草を取り巻く状
況は厳しい状況にあるが、この冬の厳冬に伴う必要飼料給与量の増加が乾牧草
の不足にさらに拍車をかけている。


● ● ● 牛肉価格は上昇 ● ● ●

 このような飼養状況を反映し、肥育牛価格(去勢牛、チョイス級、生体重量
1,100〜1,300ポンド、ネブラスカ州)は、11月以降前年を上回って推移してお
り、2003年1月は前年同月比14.3%高の100ポンド当たり77.3ドル(1キログラ
ム当たり約204円、1ドル=120円)となった。また、卸売価格(チョイス級、5
00〜700ポンド、カットアウトバリュー)についても2003年1月は前年同月比15
.2%高の100ポンド当たり129.0ドル(1キログラム当たり約341円)となった。

牛の飼養動向

 資料:USDA/NASS「Cattle」
  注:1)500ポンド以上
    2)500ポンド未満の子牛
    3)各年1月1日現在

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