◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、2001/02年度(7〜6月)の全粉乳輸出量は、 前年度比16.8%増の21万3,223トンとなり、90/91年度以降、12年間連続で増 加した。主要な輸出先は、従来からの粉乳輸出の大きな市場であるフィリピン、 マレーシアなどの東南アジアの他に、最近2〜3年の間に急増した中東やアフリ カ、前年度から倍以上の伸びを見せた香港や中国などの北アジアなどとなって いる。 また、脱脂粉乳(バター・ミルク・パウダーも含む)の輸出量は、前年度比 6.8%増の23万1,490トンと増加したものの、過去最高を記録した99/2000年度 の水準には届かなかった。主な輸出先は、全粉乳と同様にフィリピンを中心と した東南アジアと日本を含む北アジアであり、輸出量全体の約8割をアジア向 けに輸出している。 近年、粉乳は、新技術の導入によりその用途が多様化していることから、還 元乳や食品などの加工原材料として使用されることが多い。また、2001/02年 度の国際乳製品価格が低迷したこと、また、特に全粉乳については、強い需要 を受けて生産量が増加したことも、輸出量の増加要因の1つとみられる。
一方、チーズの輸出量は、前年度比0.6%減の21万7,649トンとなった。全体 の5割近くを占める日本向けの輸出量は、前年度比21.6%増の10万2,830トンと 増加した。EU向けの輸出量は同56.2%減の1万7,704トンとなり、これが輸出量 全体の減少要因の1つと言える。EU向けは、2000年末の牛海綿状脳症(BSE)問 題の再燃により、牛肉の代替として需要が増加したとされるが、牛肉消費の回 復に伴いチーズに対する需要も減退したものと思われる。
また、バター(無水バター、バター・オイルも含む)輸出量も、前年度比0.8 %減の10万9,020トンと減少を示した。バターの輸出量は、99/2000年度をピー クとして減少しているが、10万トンを超す高い水準で推移しており、韓国や中 国、香港、シンガポールなどのアジア地域からの需要は依然として強いと言え る。 ◇図:乳製品輸出量の推移◇
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