EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○豚肉卸売は価格低迷が続く



● ● ● EU平均価格、前年同月比9.4%安 ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、EUにおける2003年1月の豚肉卸売
価格は、前年同月比9.4%安の100キログラム当たり124.1ユーロ(1万5,760円:
1ユーロ=約127円、枝肉重量ベース)であった。EUの豚肉価格は、2000年末の
牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃の影響により、食肉の需要が牛肉から豚肉へ
シフトしたこと、また、2001年2月にイギリスで発生した口蹄疫の影響により
豚肉供給量が減少したことなどにより、高値で推移した。しかし、2001年3月
をピークに下落し、2001年11月以降前年を下回って推移している。


● ● ● デンマーク18.6%安、イタリア4.4%高 ● ● ●

 豚肉卸売価格の下落した要因は、牛肉の代替需要が弱まっている一方で、豚
肉の生産が安定的に行われていることが挙げられる。

 2003年1月の豚肉卸売価格を国別に見ると、減少率が最も大きかったのはデ
ンマークで、前年同月比18.6%安、次いでフィンランド同16.4%安、オランダ
同15.4%安、オーストリア同13.4%安となっている。EUの豚肉生産は、今後も
増加傾向が見込まれる中、消費量は減少すると見られており、供給過剰は続く
ものとみられている。

 一方、イタリアは、EU15カ国の中で唯一、前年同月比4.4%高となっている。


● ● ● EU委、APSの申請受付を一時停止 ● ● ●

 また、EU委員会は2002年12月5日、2002年7月以降から低下し続けていた豚肉
価格について、豚肉を民間在庫として隔離することにより、市場流通の抑制を
図り、需給の改善をするための対応策として、豚肉の民間在庫に対する補助
(APS)を発動した。

 こうした中、同委員会は、APS開始以降、低下傾向で推移していた豚肉価格
に歯止めがかかったと判断したため、APSの申請受付を一時停止する決定をし
た。

◇図:豚肉卸売価格の推移◇

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