アルゼンチン、2002年の牛肉輸出が好調


2002年の牛肉輸出は対前年比94%増

 2003年1月末、アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)が発表した統計
によると、2002年の牛肉および内臓の輸出量は前年比で94%増、輸出額は同80
%増となった。これは口蹄疫によるEU等のアルゼンチン産牛肉の輸入禁止措置
が、2002年2月に一部の州を除き解除されたことが大きな要因となっている。
(なお現在、59の国・地域が輸入解禁している。)中でも、生鮮肉およびヒル
トン枠分(価格の比較的高いEU向け高級牛肉の関税割当枠)の増加が顕著であ
った。

 生鮮肉については、輸出量は前年比184.3%増、輸出額は同64.5%増となっ
た。これは、チリなどの低級部位輸入主要国が口蹄疫を理由に輸入禁止措置を
取ったため、これまでほとんどなかったエジプト、ブルガリア向けの輸出が行
われたことなどから、輸出量が増加したが、両国への輸出は低級部位が多かっ
たことや通貨切り下げによる影響から額の増加率は小さいものとなった。輸出
相手国1位には、過去数年間の輸出が皆無または1トン以下であったエジプトが
生鮮肉輸出量の30%に当たる3万3千トンで躍り出ており、2位には輸出量の15
%、対前年の36倍に当たる1万6千トンでブルガリアとなっている。生鮮肉の1
キログラム当たりFOB平均価格は1.35ドル(約171円:1ドル=127円)となって
いるが、エジプトの平均価格は1.10ドル(約140円)、ブルガリアは0.79ドル
(約100円)と全体平均より安くなっている。


ヒルトン枠の拡大要請は否定される

 また、ヒルトン枠分が増加したのは口蹄疫による輸入禁止措置が解除された
ことの他に、アルゼンチンの経済危機を理由に同枠の2002年7月〜2003年6月期
間分が従来より1万トン拡大され3万8千トンになっていることもある(既報
「海外駐在員情報(通巻第530号)」を参照)。

 本年1月下旬、ブラッセルでのEUとの会議において、アルゼンチン生産大臣
とSENASA総裁は、経済効果の大きいヒルトン枠の1万トン追加枠を恒常的な枠
にするようEUに要請した。EU委員会のフィシュラー委員は、「恒常的な1万ト
ンの枠の拡大は認められない。昨年はアルゼンチンの社会および経済危機にか
んがみた1年限りの措置であり、これを延長すれば他の国々も枠拡大を要求す
るであろう」とコメントしたとのことで、生産省はこれに対し、今後も引き続
き要請を行うとしている。

牛肉等の輸出量(上段)および輸出額(下段)



資料:SENASA
 注:2001年は兌換制度下で1ドル=1ペソの固定相場制、
    2002年1月以降は変動相場制に移行。

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