再び動き始めた豪州乳業界の再編
豪州2大乳製品メーカーが合併検討へ
豪州の大手乳業メーカーであるマレーゴールバンとボンラックフーズは1月
14日、合併に向けた交渉を開始することに合意したと発表した。両者ともビク
トリア州に拠点を置く乳製品生産を主体とする協同組合系メーカーである。昨
年度(01/02年度)において、マレーゴールバンが年間売上高約20億豪ドル
(約1,440億円:1豪ドル=72円)、ボンラックフーズが年間売上高約8億5千万
豪ドル(約612億円)であったことから、この合併が実現すれば、年間売上高
が30億豪ドル(約2,160億円)近い乳業メーカーが設立されることになる。
過去には、両者の合併論議はとん挫、NZ資本が参入
両者の合併については、2年前にも、経営が悪化したボンラックフーズの乳
製品製造部門をマレーゴールバンが買収する計画が話題となったが、結果的に
は実現しなかった。ボンラックフーズの経営立て直し策の一環としては、フォ
ンテラの母体の1つとなった旧ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)
による資本参加(25%)を伴う業務提携が行われた。
現在もボンラックフーズの財務状況は芳しくないとされる一方、マレーゴー
ルバンにとって乳製品製造部門の規模拡大による国際競争力強化の機会となる
ことから、両者の思惑が一致したと考えられる。両者はこの交渉開始に当たっ
て、マレーゴールバンがボンラックフーズを吸収合併することを想定している。
ボンラックフーズの株主であるフォンテラは、この交渉開始を支持している
とされる。
ACCCの審査には楽観的
合併に際しては、両者への生乳供給者であり、株主である酪農家の承認はも
ちろんのこと、豪州の乳業部門における大型合併案件となる可能性が高いこと
から、同部門における公正な競争を確保するため、独占監視機関である豪州自
由競争消費者委員会(ACCC)の審査も必要になるとみられる。
マレーゴールバンでは、当然ACCCによる案件になるとの認識を示しつつも、
「今回の交渉は、国際的に競争力のある事業を確立するためのものであり、AC
CCは通常、このような動きは支持する」と特段の問題なしに進めることができ
るとしており、経済評論家などもACCCの審査については楽観的な見通しを示し
ている。
注目されるフォンテラの今後の動向
両者の交渉は早々に開始され、利害得失を検討した上、交渉自体の継続を含
め判断し、今年半ば頃の合意を目指しているとされる。
今回の発表を受け、業界内では、今後、フォンテラのボンラックフーズから
の撤退や、ボンラックフーズの名前が無くなるとの予想がすでに出始めている。
昨年7月、フォンテラとボンラックフーズが設立した消費者向け乳製品会社
であるオーストララシアン・フード・ホールディングス社(フォンテラの持ち
株比率:75%)の取り扱いを含め、この交渉の今後の展開には、フォンテラの
動向が注目される。
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