拡大が予想される中国養鶏産業


中国と世界の家きん概況

 世界の家きんの構成割合は鶏85.6%、アヒル4.2%、ガチョウ3.4%、七面鳥
7.3%となっている。アヒルとガチョウについては、世界の生産量のうち中国
の占める割合が大きく、アヒルは69.2%、ガチョウは92.5%となっている。一
方、七面鳥の飼養羽数が最も多いのはアメリカで、年間生産量は約240万トン、
以下、イタリア36万トン、ドイツ28.5万トン、ブラジルと続いている。欧米の
国々では七面鳥は感謝祭やクリスマスに欠かせないものであるが、一方、アヒ
ルやガチョウは食習慣との関わりに加えて、集約的飼育に向かず、飼育コスト
が比較的高いことなどから飼養は少ないものとなっている。

 中国では、鶏肉が家きん肉全体の生産量の70%を占め、アヒルが16%、ガチ
ョウが14.4%となり、豊富で多彩な家きん肉と家きんの卵の加工製品が生産さ
れている。中国各地にそれぞれに特色を持った100種類以上の家きん加工製品
があり、これは他の国との比較にはならない。一方、七面鳥は、中国にはまだ
消費習慣がないため、年間の生産量は2,000トン程度に過ぎず、これらは主に
中国駐在の大使館や外資系企業に提供されている。


家きん肉およびその加工製品の輸出入動向

 米農務省(USDA)では、中国の2002年の家きん肉の輸入量を前年比19.7%減
の38万トンと推計している。これは、米国など輸出国の衛生問題による輸入国
側の輸入規制などが要因とされる。しかし、米国、EU、ブラジル、タイといっ
た主要輸出国はいずれも中国市場を有望視しており、今後も中国を大口の買い
手と位置付けている。

 専門家は、外国産の肉鶏が中国に入ってきても、国内市場への影響はそれほ
ど大きくないと予測しており、その理由として、次の項目を挙げている。

@ 中国では、内地の都市農村、香港、マカオのいずれの地域でも従来から新
 鮮な家きんが好まれており、価格が高くても消費が落ち込むことはない。 

A 欧米などで販売価格が比較的高い鶏ムネ肉や骨なし肉は、価格が高い上に
 冷凍のため、中国市場では受け入れられない。

B 中国では地鶏が好まれることから、鶏の種類からみても家きん肉の輸出国
 から需要に見合う供給が行えない。

 一方、2002年の中国の家きん肉輸出量について、USDAでは、前年比18.2%減
の40万トンと推計している。これは、中国における家畜疾病の発生を理由とし
た輸入国における輸入停止措置によるところが大きい。しかし、中国では、現
在の輸出量が2倍になっても鶏の供給には問題がないこと、また、現在、輸出
向けの品質条件を備え、1日当たりの処理加工能力が3,000トン以上に達してい
る10以上の処理工場は、輸出量の増加に伴い、1日当たりの処理能力を倍の6,0
00トン以上に引き上げることが可能であり、処理能力にも問題がないことから、
中国には、輸出拡大の潜在能力が備わっているとみられる。


加工品を中心とした輸出の伸びを期待

 中国の専門家によると、中国は輸出先として、ロシア、日本、韓国等を特に
重視し、その関係を固定化させることが重要であるとしている。さらに、現在
は消費水準が低く、輸入量も多くない東欧や、インドネシア、フィリピンなど
のアジア地域、エジプトといった市場の開拓も必要としている。しかし、生鮮
鶏肉は、価格の面で国際的に優位性がないことから、地鶏やアヒル、ガチョウ
を原料とする加熱加工製品が輸出の中心品目となるとみられる。製品としては
ローストチキン、薫製鶏、焼きダック、塩水ダックや塩焼きダック、さらに小
分けの包装を開ければすぐに食べられる地鶏等がある。これらは、中華レスト
ランの多い国、例えば、3,000軒あるアメリカや華人が多い東南アジアの国を
重点的な販売が見込まれている。 

 また、国際的に人気の高いフォアグラは経済的価値が高い一方で、現在、世
界でその供給量がおよそ1万トン不足している。フォアグラの生産過程では、
特に肥育段階で人の手が必要だが、中国では対応が可能とされており、今後の
新たな輸出品目として期待されている。

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