◇絵でみる需給動向◇
タイ農業協同組合省農業経済局によると、2003年3月に1羽当たり3.7バーツ (約11円:1バーツ=2.9円)まで下落した初生ひな価格は、以後の好調な輸出 需要を受けて急速に回復し、6月は2002年当初と同様の10.1バーツ(29円)に まで上昇した。 一方、ひな価格とともにブロイラー生産費の変動におよぼす影響が大きいと される飼料費については年明け以降36バーツ(104円)前後、また、その他の 経費についても5バーツ(15円)前後で、それぞれ安定的に推移した。このた め、ひな価格の変動のみが生産費を押し上げる結果となった。
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資料:タイ農業協同組合省 |
しかし、4月以降、需要の増大を受けて農家販売価格が3月にキログラム当た り21.7バーツ(63円)から6月には30.3バーツ(88円)へと上昇したため、農 家収益(農家出荷価格−生産費)は4月以降黒字で推移している。
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資料:タイ農業協同組合省 注:農家収益=農家販売価格−生産者 |
業界筋の情報によると9月中旬以降、国内市場におけるブロイラーの農家販 売価格は10日あまりの間にそれまで1キログラム当たり30バーツ(87円)で取 引されていたものが、19バーツ(55円)にまで急落した。生産者団体は、今年 3月から初生ひなの生産調整により供給過剰の抑止に努めており、これまでに 何度もその期間を延長してきたが、目標である15%削減率に対し、実際には各 社の削減率は5%程度に止まっていたとされている。加えて例年にない冷涼な 天候が続いたため、生産段階での損耗が低く抑えられ、供給の増加を招いてい る。 今年上半期は、タイ産ブロイラーに対するEUや日本からの需要が高まったこ とから輸出仕向けの製品は高値で取引されていたが、輸出市場での需要の減速 に伴い大手生産者による国内市場へのダンピングが行われ、国内価格の急激な 下落を招いたとされる。 なお、生産者団体は9月8日から5週間にわたり、供給過剰を防止するために、 合意に基づく15%削減の生産調整を順守することを確認した。
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