ブラジルの鶏肉の需給動向
◇絵でみる需給動向◇
○鶏肉の生産量増加は鈍化傾向
● ● ● ブロイラー用ひなの生産羽数は横ばい ● ● ●
ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によれば、好調な鶏肉輸出に
支えられ、業界は2001年および2002年と順調に成長してきたが、鶏肉消費量の減
少などから、2003年上半期のひな生産羽数は前年同期比1%増の18億8,200万羽に
とどまった。また、APINCOは、2003年上半期のペアレントストックの生産羽数は
1,505万羽と前年同期に比べ0.84%増であったことから、年初にひなの生産羽数
を前年比5%増の40億羽とした予測を、1%以下の増加率と下方修正している。
なお、APINCOは、「このわずかな増加は輸出のおかげである。人口が年間1.5%
以上増加することを考慮すれば、生産は後退している」と話している。
また、上半期の鶏肉生産量(骨付きベース)は、輸出量の増加などから、前年
同期比 4.7%増の377万7千トンとなった。しかし、2002年上半期が前年同期比
16.8%増であったのに比べ増加率は半減した。
ひな生産(ふ化)羽数
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種鶏雌の生産羽数
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● ● ● 上半期の鶏肉輸出は49%増加 ● ● ●
一方、2003年上半期における鶏肉輸出量 (骨付きベース)は 91万トンに達し、
前年同期比49%増となった。また、輸出額は同31%増の7億4,220万ドル(約 898
億円、1USドル=121円)であった。ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)によれば、
増加要因として伝統市場であるサウジアラビア向けの増加に加えベネズエラなど
の新規市場の開拓に負うところが大きいとしている。
輸出量を形態別に見ると、丸どりの6月輸出量は、前年同月 56%増の5万4,600
トン、輸出額は81%増の 4,120万ドル(約49億5千万円)、1トン当たりの平均価
格は16%増の755ドル(9万1千円)となった。ABEF はこのことについて、輸出の
30%を占めるサウジアラビアの需要の倍増および新たな市場となったベネズエラ
を強調している。
またパーツの輸出増加も著しく、輸出量は71%増の10万トン、輸出額は58%増
の9,310万ドル(112億7千万円)であったが、1トン当たりの平均価格は 7%減少
し923ドル(11万2千円)となった。もっとも目立ったのは南アフリカと日本であ
り、輸出量は前年同月の2倍となっている。
なお、ABEFは下半期については、ロシアが設けた鶏肉への輸入枠(3万3千トン)
や(「畜産の情報(海外編)」2003年 6月号参照。2002年ロシア向け輸出は 30万
トン弱)、EU の加塩鶏肉に対する関税の引き上げ(同号参照)と厳しい事態が予
想されるため、2003年の輸出量の増加は3〜5%とする予測を維持した。
● ● ● ブラジル農務省が冷凍丸どりの水分含量についてサンプル検査を実施●
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ブラジル農務省農牧防疫局動物製品検査部は6月30日、国内のスーパーで販売さ
れている冷凍丸どりの150サンプルを検査した結果、その32%について政府が許容
する8%を超える水分を含んでおり、一部には水分が23%のものもあったことを発
表した。農務省は、「冷凍する前に使用する低温水が、 冷凍丸どりの記載重量の
8%まで含まれることが認められており、健康への被害はないが、消費者は水で増
量したものに対して料金を払っているようなものである」とコメントした。
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