産地表示保護制度に登録したベルギーの「パテ」パテ・ゴーメ(Pâté・Gaumais

ブラッセル駐在員事務所 山崎 良人、関 将弘



ひとくちMemo
 「パテ」とは、肉、鳥あるいはジビエ(野鳥や狩猟動物の類)を原材料とし、パイ生地等に詰めて包んだり、あるいは型に入れてオーブンで焼いたものである。「パテ」は、EU各地で作られており、その形、味はさまざまである。
 数ある「パテ」の中で、「パテ・ゴーメ(Pâté・Gaumais)」は、EUの原産地呼称保護制度(PDO)、産地表示保護制度(PGI)に登録されている64種類の肉製品の中で、唯一「パテ」で登録された食品である(2003年8月4日現在)。2000年の初めに、この地区の同業者が、「パテ・ゴーメ」をPGI登録の申請を行い、厳しい審査の末、2001年10月9日にPGIに登録された。
 ゴーメとは、ベルギー最南端に位置するゴーム地区のことをいい、国内では温暖な気候で知られている。
※1PDO:特定の地域・場所に由来する固有の自然的あるいは人的要因によって品質、特徴を有するもので特定の地域で生産・加工・調達された食品
 2PGI:特定の地域に由来する品質、特徴を有し、当該地域において生産、加工または調達のいずれかが行われた食品

 19世紀の終わりに、ゴーム地区の肉屋が、ハムやソーセージを作った後に残った肉だけを利用してパテを作った。しかし、肉だけでは表面が乾燥してしまうので、パン生地で覆って焼くことにした。それ以来このパテは、この地方で食べられるようになった。現在では、生地を作るパン屋(写真左)と、具を作る肉屋(写真右)の両者で製造し、販売している。そのPGI加盟店舗の数はこの地区で20件ある。


パテ・ゴーメの作り方

 今回取材したのは、ゴーム地区のヴィルトンにある肉屋で、ここのパテ・ゴーメは、2002年のワロン地方の食品見本市
で、金賞を受賞した。

 主にこの地域で飼育された上質の豚肉を包丁で切り、マリネ液に2昼夜漬け込む。
 マリネ液は、ワインまたはワインビネガーを原材料に、エシャロット、タイム、ローリエ、塩、コショウでその店独自の味を作る。いずれもこの土地のものを使用(塩、コショウを除く)。
   発酵した生地を丸く薄く伸ばし、型に乗せ、水気を切った豚肉を生地の隅までぎっしり詰める。
 
 上面にとき卵を塗り、中央にPGIのロゴが入った、マークを乗せる。このロゴマークは、後述の条件で製造することを受け入れたパン屋、肉屋だけが使用できる。
 生地(ふた)を乗せ、ふちを装飾して閉じる
   
 
 170度のオーブンで1時間15分焼いたら完成。昼食、夕飯のメインとして食されている。パン生地で包んだ後、すぐ焼いて食べないとおいしくないので、現在はこの地区でしか購入することができない。長期の保存方法を、大学の研究室に依頼し、開発中である。各地で賞味できる日が待ち遠しい。  
パテ・ゴーメの条件

  ・ ゴーム地区で作られたもの
  ・ 包丁で小片に切った上質の豚肉を
    30%以上含むもの
  ・ 豚肉をゴーム地区の調味料(ハーブを
    加えたワインあるいはワインビネガー、
    塩、コショウ)でマリネすること
  ・ 発酵生地で包まれていること
  ・ 丸い形で、重量が200グラム以上あること


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