米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2003年上半期の生乳生産は前年並み


● ● ● 生産量は過去最高をわずかに上回る ● ● ●

 米農務省(USDA)によると、2003年1〜6月の生乳生産量は、3,912万6千トンと
前年同期を0.1%上回った。今年1〜3月の生産が好調であったことから、上半期
としては過去最高であった 2002年の記録を更新する結果となった。全米の生乳
生産量の約7割を生産する主要 10州では、同 1.5%増の 2,781万6千トンとなり、
そのうち米国の約 2割を生産するカリフォルニア州は同 2.8%増 811万4千トン、
ウィスコンシン州では0.1%増の508万5千トンとなり、中でも経産牛頭数の増加
している新興酪農地域であるニューメキシコ州やアイダホ州では、同 6.5 %、
7.1%増と大きく増加した。一方、歴史的酪農地域のニューヨークおよびペンシ
ルベニア州ではそれぞれ同2.1%減、3.1%減と生産を減少させた。
上位10州2003年上半期の州別生乳生産量
資料:USDA/NASS「Milk Production」
 注:順位は2003年上半期生乳生産量の順位

● ● ●1頭当たり乳量増加により生産増加 ● ● ●

 生乳生産量の増加の要因は、1頭当たり乳量の伸びによると考えられる。
2003年上半期(1〜6月)の平均経産牛頭数は、前年同期並みの 913万 4千頭であっ
たのに対し、この期間の1頭当たり乳量は、前年同期比0.4%増の4,311キログラム
となった。
経産牛頭数と1頭当たり乳量の推移
資料:USDA/NASS「Milk Production」他
 注:2003年の経産牛頭数は上半期の平均値、1頭当たり乳量は年間の予測

● ● ● 牛群縮小の兆しも2003年の価格は4%安の見込み ● ● ●

  一方、7月1日現在の調査による更新用の乳用雌牛の飼養頭数は、前年比2.7%
減の360万頭となり、牛群縮小の兆しがみられる。生産者が、長引く生乳価格の値
下がりで収益を悪化させており、 牛群の更新に慎重になっていることが背景にあ
るとみられる。

 USDAは、2003年の生乳生産量は、前年比0.4%増の7,729万トンと見込んでおり、
生産の増加予測を受け、生乳農家販売価格(飲用向け乳価と加工原料乳価の加重
平均)は、2003年通年の平均価格は、前年比1.7〜4.3%安の100ポンド当たり11.6
〜11.9ドル(キログラム当たり 31〜32円:1ドル=121円)と予想されている。乳
価の回復は、来年以降になる可能性が高い。

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