米生乳団体、独自の生乳生産削減プログラムを開始


生乳生産量削減のための3つのプログラムを開始

 米国最大の生乳生産者団体である全国生乳生産者連盟(NMPF:33酪農協同組合
(組合員約6万人)は7月3日、生乳生産量削減プログラム「Cooperatives Working 
Together(CWT)」を開始すると発表した。


 NMPF独自で運用するこのプログラムは、今月から来年6月までの1年間のみ実施
されることになっており、参加はNMPF会員の個人の裁量に任されている。また、 
このプログラムにはNMPF会員以外も参加することができる。 
 実施に当たりNMPFは、参加者から生乳生産量換算で100ポンド当たり5セント 
(キログラム当たり約13銭、1ドル=121円)を徴収し、これを財源として次の3つ 
のプログラムを実施するとしている。参加者はこれらのプログラムに参加した場 
合、NMPFから補償金の交付などが受けられる。

1. 牛群淘汰プログラム

 NMPFは、牛群を淘汰する参加農家に対し、年間の生乳生産量などを勘案して牛
群買上げ額を査定し、それに基づく買上げの実施と代金の支払を行う。NMPFが買
い上げた牛群は淘汰のためと畜場でと畜処分される。

2. 生乳生産量削減プログラム

 農家は、生乳生産量の10%以上を削減する計画を作成・実施する。NMPFは計画
達成農家に補償金を支払う。

3. 乳製品輸出支援プログラム

 NMPFは、米国産チーズおよびバターファットを海外市場向けに輸出した製造業
者と輸出業者に対し奨励金を交付する。

 NMPFは、このプログラムは、新農業法で措置された「乳製品輸出奨励計画
(DEIP)」(詳細は「畜産の情報(海外編)2002年4月号参照」)とは完全に独
立したプログラムでありDEIPに代わるものではないとしている。

約12億ポンドの生乳を削減し、価格の上昇を期待

 NMPFによればプログラム実施期間で約12億ポンド(約54万4,308トン)の生乳
生産量の削減が見込まれるとしている。また、削減効果により生乳価格が100ポ
ンド当たり約23セント(キログラム当たり約61銭)上昇すると積算している。


 期待する生産量の削減や生乳価格上昇の効果を得るためには、全生乳生産量の
70%を超えるプログラムへの参加が必要としている。NMPFはプログラムを軌道に
乗せるために、非会員も含めた参加を呼びかけるプレスリリースを行っている。
カリフォルニア州などを中心とした大規模酪農家はプログラムへの参加を表明し
ているものの、小規模酪農家や非組合員がどのくらい参加するのかは不明である。
生乳生産量で70%を超える参加が得られるのか注目されるところである。

 なお、新農業法では、生乳の需給調整を目的としたこのような生産調整に対す
る措置は講じていない。

◎ 牛肉チェックオフ制度に対し連邦控訴裁判所が違憲判決

 連邦控訴裁判所は7月8日、米農務省に対し、昨年6月21日の牛肉チェックオフ
制度を違憲としたサウスダコタ州の連邦地方裁判所の判決を支持するとした決定
を下し、米農務省の上訴を棄却した。


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