米農務省(USDA)によると、2003年のブロイラー輸出量(可食処理ベース)は、前年比2.8%増の223万7千トンとなり、前年を上回った。中でも最大の輸出先であるロシア向けは、前年比4.1%減の66万1千トンと大幅に減少し、全輸出量に占める割合は2.1ポイント減の29.6%となった。その他の主要な輸出先については、中国が前年比83.6%増の13万トン、メキシコが12.1%増16万4千トン、その他の国では数量は少ないがオランダが前年比12倍の2万2千トン、リトアニアが同6倍の1万1千トンの増加がみられた。一方、香港が49.2%減の13万9千トン、カナダは同4.6%減の8万6千トン、韓国が36.5%減の7万1千トン、日本が同15.7%減の4万6千トンとアジアの主要市場において大きな減少となった。
米国鶏肉輸出量の比較
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資料:ERS/USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」
注:輸出量は、可食処理ベース
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● ● ● 2004年の輸出は増加に転じる見込み ●
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最大の輸出先であるロシア(鶏肉の衛生問題、輸入割当枠の設置問題)やメキシコ(もも肉のアンチダンピング問題)との貿易上の問題も2003年に一応の解決となり、今後安定した貿易が見込まれることに加え、BSEの影響による米国、カナダからの牛肉輸出の不調により輸入国の消費が牛肉から鶏肉へ代替されること、米ドル安が予想されるため輸出国であるブラジルやタイ産鶏肉との価格競争力が増加することおよび国内価格も堅調なことから生産量も増加基調となっており、輸出余力は十分確保されることから、2004年の輸出量は前年比7%増の約240万トンと見込まれている。
鶏肉輸出量の推移
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資料:ERS/USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」
注:輸出量は、可食処理ベース
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● ● ● 家畜疾病の発生による影響 ● ● ●
2003年の輸出量は前年比でやや増加したものの、従来からの輸出市場で前年を大きく下回った。その主な要因は、最大の輸出相手国であるロシアなどとの貿易上の問題や競合国との競争もあるが、米国各地で発生している鳥インフルエンザやニューカッスル病などの家きんの疾病により、輸出相手国が米国からの鶏肉などの輸入停止措置を行ったことが最も大きい要因となっている。2月23日にテキサス州の強毒性の高病原性鳥インフルエンザに続き、3月8日にもメリーランド州で弱毒の鳥インフルエンザが確認されており、清浄化が急がれている。これらの疾病が今後の輸出に与える影響も楽観できないものとなっている。
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