EUの豚総飼養頭数はほぼ前年並み



◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 総飼養頭数は前年同期比0.4%減 ● ● ●

 欧州統計局(EUROSTAT)は、2003年4月〜6月時点における豚の総飼養頭数(暫定値)を公表した。

 豚の総飼養頭数は、前年に比べ大きな変化はなく前年同期比0.4%減の1億2,105万4千頭となった。主要生産国では、EU最大の豚肉生産国であるドイツは1.7%増、それに次ぐスペインは0.3%増となった一方で、域内第3位の豚肉生産国であるフランスは0.7%減、主要輸出国であるデンマークおよびオランダはそれぞれ2.3%減、4.1%減となった(なお、デンマーク統計局によると同国の豚飼養頭数については、今年1月時点では前年同期比0.6%増となっている)。

 なお、本年5月に加盟が予定されている中東欧等10カ国のうちの主な生産国について見ると、ポーランドは前年同期比0.1%減の1,861万8千頭とほぼ前年並みであるが、ハンガリーは3.1%増の509万7千頭となった。


EUの豚の飼養頭数(4月〜6月期)
(単位:千頭、%)
資料:EUROSTAT

● ● ● と畜頭数はスペインなどで増、フランスなどで減 ● ● ●

 また、EUROSTATによると、2003年1月〜10月(国によっては9月)までの主要国の豚のと畜頭数は、ドイツやスペインなどで増加、フランスやオランダなどで減少した。

 ドイツではオランダやデンマークからの生体豚輸入が増加したことから、前年同期比3.0%増の3,360万4千頭、スペインでは依然として国内需要が旺盛であることから、7.5%増の2,872万7千頭となった。EU最大の豚肉輸出国であるデンマークでも、1.3%増の1,881万2千頭となった。一方、フランスでは、現在の豚肉価格の低迷や飼料価格の上昇により生産者の生産意欲が減退していることから、前年同期比0.3%減の2,220万6千頭、オランダでは、政府主導による豚の飼養頭数削減計画が進展していることから、12.1%減の1,142万8千頭となった。イギリスでも11.2%減の723万7千頭となった。なお、2004年第1四半期のEU15カ国の豚肉生産量は、前年同期比1.0%減の5,098万1千トンと予測されている。


EU15カ国の豚肉の生産量(第1四半期)
(単位;千トン、%)
資料:EUROSTAT

● ● ● 一部関係者は、日本の関税の緊急措置発動を懸念 ● ● ●

 このような中で、EUの一部豚肉関係者の間では、米国における牛海綿状脳症(BSE)の発生およびアジアを中心とした鳥インフルエンザの発生により、日本の牛肉、鶏肉の需給が例年と大きく変わるものと予測している。このため、日本の豚肉需要が強くなり、豚肉の輸入量が増加し、平成16年度も豚肉についての関税の緊急措置が発動するのではないかと心配する声が出ている。


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