主要国のと畜頭数はおおむね減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● スペイン、アイルランドを除き減少 ● ● ●

 欧州統計局(EUROSTAT)によると、EUの主要牛肉生産国の2003年1月〜11月(国によっては10月)の牛のと畜頭数(子牛を含む)は、スペインおよびアイルランドを除き前年同期に比べ減少した。

 EU最大の牛肉生産国であるフランスやそれに次ぐドイツ(両国の合計でEUの牛肉生産量の4割以上を占める)では、国内における牛の飼養頭数の減少が続いていることなどから、それぞれ前年同期比1.5%減の約521万2千頭、8.3%減の約360万9千頭となった。また、イタリアやイギリスでも減少した。一方、スペインでは国内需要が旺盛で域内からの子牛輸入が増加したことなどから、前年同期比9.2%増の約230万頭となった。主要牛肉輸出国であるアイルランドでも増加した。

● ● ● 輸入は特恵措置を利用しない輸入が大幅増加 ● ● ●

 一方、このような中、1994年のガット・ウルグアイラウンド合意の下、EUのさまざまな特恵措置(関税割当制度)を利用した牛肉輸入が南米諸国や中・東欧等諸国などから増加している。これに加え、近年では、域内の牛肉消費回復を背景にEUのさまざまな特恵措置(関税割当制度)を利用しない通常の輸入(通常の関税等を払っての輸入)が大幅に増加している。欧州委員会によると、2003年下半期における域外からの通常の牛肉輸入量は、前年同期比89.9%増の約4万2,100トンと大幅に増加した。

 国別に見ると、最も輸入量が多いのはオランダで77.1%増の約1万200トンとなった。次いでドイツの約9,400トン(96.3%増)、イギリスの約8,700トン(71.5%増)などとなった。なお、EUが輸入する牛肉は、ブラジルやアルゼンチンなど主に南米諸国からのものが多くを占めているとみられる。


2003年下半期における域外からの通常の
措置による牛肉輸入量(上位5カ国)
(単位:トン)
資料:欧州委員会

● ● ● 直近の飼養頭数からすると、2004年のと畜頭数も減少の見込み ● ● ●

イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2003年11月期のフランスおよびドイツの牛の総飼養頭数は、それぞれ前年同期比2.9%減の1,918万2千頭、2.8%減の1,334万9千頭となった。また、アイルランドでも減少が報告されている。このような状況から、両国を含め2004年の域内のと畜頭数も、減少が見込まれる。

 これを受け、欧州委員会の予測によると、2004年のEU(15カ国)の牛肉生産量(枝肉ベース)は、前年比1.0%減の730万トン台と見込まれている。一方、牛肉消費量は、ほぼ前年並みの740万トン台と見込まれており、域内牛肉の供給不足分は前年よりも増加して10万トン台に達するとしている。この不足分は、南米諸国などからの輸入が増加することで補われると予想される。


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