生産は回復傾向で推移


◇絵でみる需給動向◇


●●●生産は回復傾向で推移●●●

 2004年7月のブロイラー生産は6千5百万羽となり、前年同月比24%と大きく減少しているものの、対前月比では4月以降継続して増加している。

 一方、卸売価格の推移を見ると、5月以前年同月を下回っている。

 このような状況下、農家販売価格も下降傾向で推移している。

図1 農家販売価格の推移
資料:タイ商務省

 また、バンコク市場鶏肉価格も6月以降は前年同月を下回って推移している。

図2 バンコク市場鶏肉価格の推移
資料:タイ商務省

●●●融資による鶏肉輸出業者対策●●●

 2004年1月末の鳥インフルエンザの発生確認後、主要市場であった日本とEUへの輸出が加熱処理を行った調製品のみとなったことにより、大量の鶏肉が冷凍在庫としてタイ国内にとどまることになった。公式な発表はないものの、これまでの報道などを総合すると、鶏肉輸出業界全体で、約20万トンの冷凍鶏肉が在庫になっているとされている。

 タイ政府は11月初め、予算規模を45億バーツ(117億円、1バーツ=2.6円)として、政府関係金融機関であるクルングタイ銀行などを通じての短期低利融資を鶏肉輸出業者に貸し付けることとした。この融資の具体的な内容については、今後、財務省と銀行側が詰めることとなっている。

 一方、この鶏肉輸出業者を対象とした融資計画に対して、野党の民主党を中心に、鳥インフルエンザによる被害の救済は、殺処分で飼養する鶏を失った生産者や鶏肉小売業者を優先すべきとの批判が出ている。

 なお、この鶏肉輸出業者に対する融資の貸し出し計画に至る経緯は、タイ商務相が、閣議において、在庫になっている冷凍鶏肉など10万トン余りを62億バーツ(161億円)で政府が買い上げる案を提出したことによる。

 同相は、買い上げは、資金が不足している鶏肉輸出業者にとっては大きな助けになるとともに、政府がロシアなどへの売却交渉を進めており、これが実現すれば国民の負担は避けられると説明した。また、この買い上げ案の背景には、鳥インフルエンザの発生により、鶏肉輸出業界が輸出の不振により大量の在庫を抱えて資金調達上の困難に陥っており、政府の支援がない場合には従業員の一時解雇などが必要となり、国内の関係業種の300万人に影響が出るとの要請を商務省に行ったとされている。

 しかしながら、閣議では、特定の業界への直接の補助は政府が批判にさらされることになるとして、鶏肉在庫の買い上げ案の代替えとして短期低利融資が行われることとなった。


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