EU15、好調な2004年上半期の域外向け豚肉輸出


◇絵でみる需給動向◇


●●●域外向け輸出は22万トンで日本向けが最大●●●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2004年上半期(1〜6月)におけるEU15カ国の域外向け豚肉輸出量(冷蔵・冷凍、製品重量ベース)は、前年同期に比べて31.6%増の53万トンとなった。

 輸出国別にみると、日本向けが最大で、日本で3月まで豚肉について関税の緊急措置が発動されていたにもかかわらず、同36.8%増の21万7千トンと域外向け輸出量全体の約4割を占めている。MLCによると、本年3月に日本向け輸出された製品の大部分は、2003年12月にEUで発動された豚肉の民間在庫補助(APS)により、2004年当初に保管された冷凍豚肉であったとしている。

 なお、EU最大の豚肉輸出国であるデンマークの同期における日本向け輸出量は同29.0%増の17万9千トンと、デンマークにおいても日本は最大の輸出国となっている。

 日本に次ぐ輸出国は韓国で、同75.4%増の4万4千トンとなり、米国やカナダにおける牛海綿状脳症(BSE)発生の影響などによる牛肉からの代替需要の増加により日本、韓国、香港など東アジア諸国向け輸出量の増加が顕著であった。

 また本年5月、EUに新規加盟したポーランド向け輸出量は、同33.3%増の2万1千トンとなった。ポーランドはEU25カ国の中でもドイツ、フランスに次ぐ3番目の豚肉生産国で、名目上は豚肉自給国である。しかし、EU15カ国に比べて繁殖、肥育などでの生産技術が劣ることから豚肉の品質が低水準であるため、自国の食肉加工業者などの需要増により、特に加盟後、EU域内からの豚肉輸入の増加が顕著となった。6月におけるEU15カ国のポーランド向け輸出量は9千トン超となり、特にデンマークやドイツからの輸出が増加した。

表1 EU15の豚肉域外輸出量
(単位:千トン、%)
資料:MLC
 注:製品重量ベース(冷蔵・冷凍)、各年上半期(1〜6月)の数値

●●●新規加盟国からの輸入が増加●●

 一方、上半期における域外からの豚肉輸入量は、同22.6%増の3万1千トンとなった。主要輸入相手国は、新規加盟国であるハンガリーとポーランドで、それぞれ同4.1%増の1万5千トン、同71.7%増の8千トンとなった。また、ごくわずかではあるものの、近年、米国やチリからの輸入が増加している。

 MLCによると、ポーランドからの豚肉輸入は増加傾向にあるが、EUの衛生条件を満たしている食肉処理場が現在のところわずかしかないことなどから、今後さらに増加する可能性は極めて少ないものと見込んでいる。

表2 EU15の豚肉域外輸入量
(単位:千トン、%)
資料:MLC
 注:製品重量ベース(冷蔵・冷凍)、各年上半期(1〜6月)の数値

●●●オランダの豚肉輸出は域内向けが中心●●●

 EU15カ国においてデンマークに次ぐ豚肉輸出国であるオランダの同期における豚肉輸出量は、同8.5%増の31万5千トンとなった。オランダの豚肉輸出は輸出量全体の約9割を占めるEU域内向けが中心で、特にイタリアとドイツ向けで15万8千トンと域内向け全体の約6割を占めた。また、同期では、イギリス向けが同50.8%増の2万9千トンと大きく増加した。

 一方、EU域外向け輸出をみると、日本、韓国向けがそれぞれ同18.8%増の8千トン、同50.0%増の4千トンと近年増加傾向にある。


元のページに戻る