肥育豚価格堅調


◇絵でみる需給動向◇


●●●肥育豚価格は20カ月連続して前年同期を上回る●●●

 米国農務省(USDA)が公表した肥育豚価格(生体重換算、全米平均取引価格)は、2003年3月から前年同月を上回って推移し2004年10月には20カ月連続で前年同月を上回った。2004年10月の肥育豚価格は、前年同月を42.5%上回る100ポンド当たり55ドル(キログラム当たり130円:1ドル=107円)となった。2004年5月から6カ月連続して100ポンド当たり50ドル台を超えている。

 肥育豚価格の高騰は生産量にも影響を与え、2004年第3四半期の繁殖雌豚飼養頭数は2002年第2四半期から9期ぶりに増加に転じ前年同期比1.1%増となっている。

●●●国内と輸出需要が堅調でカナダからの生体輸入も増●●●


 肥育豚価格高騰の要因は、国内の堅調な需要にあり豚肉卸売価格(カットアウトバリュー、ロイン)は肥育豚の価格が前年同月を上回った1月後の2003年4月から2004年10月まで19カ月連続で前年同月を上回って推移し、10月は前年同月比25.5%高の100ポンド当たり75ドル(同177円)となった。さらに、米国内でのBSEの確認により牛肉輸入国からの豚肉への引き合いが強まり2004年8月の豚肉輸出量は前年同月比17.7%増の6万9千トンとなり、2002年6月からほぼ前年同月を上回って推移している。こうした内外の需要の増加を受け、カナダからの生体豚輸入も2003年は前年比29.6%増の740万頭となり2004年も増加の一途となっている。

●●●2005年も需要は継続●●●

 USDAによると2005年も引き続き動物たんぱく質に対する強い需要と高い国内牛肉価格により国内需要は堅調に推移するとされる。ただし、比較的安価な鶏肉が競争相手として台頭してくる見方もあるとしている。また、輸出についてはメキシコ向けがメキシコの国民所得向上とともに増加し、輸出量全体も伸びると見込まれているため、豚肉需要は2005年も堅調に推移するとみている。

●●●カナダ産生体豚ダンピングの仮決定●●●


 米国商務省(DOC)は10月15日、カナダから輸入される生体豚に対するアンチダンピング調査について仮決定を発表した。その内容はカナダの輸出業者の2003年における米国向け価格、カナダ国内向け価格、生産コストについて調査し、米国向け生体豚輸出額の20%を占める輸出業者上位3社およびそのほかの輸出業者についてもダンピングとした。最終的にアンチダンピング税が決定されるまでには、いくつかの決定手続が必要であるが、そうなった場合、米国への肥育素豚供給や豚肉生産への影響も必至であるとみられることから動きから目が離せない。(DOCのダンピングに関する仮決定の詳細はトピックスP.6参照)


元のページに戻る