牛肉輸出は引き続き好調


◇絵でみる需給動向◇


●●●輸出量は8カ月連続の増加●●●

 
豪州の牛肉輸出量は、米国産牛肉の輸入停止以降、順調に伸び続けている。豪州農漁林業省(AFFA)の貿易統計によると、2004年10月の牛肉輸出量は、前年同月比4.1%増の8万4千トンと、3月以降8カ月連続の増加となった。

 その内訳は、チルド牛肉輸出量が、2万6千トンと前年同月と比べて28.3%の増加に対して、フローズン牛肉輸出量は5万8千トンと同3.9%の減少となった。これは、主に日本に仕向けられるチルド牛肉がおう盛な需要に支えられて堅調に推移する一方、主に米国に仕向けられるフローズン牛肉が、米国の個人消費に陰りが見え始めたことが影響して、伸び悩みをみせたことによるとみられる。

 しかし、全体的にはフローズン牛肉の減少分をチルド牛肉の増加分が十分に吸収しており、全体で前年同期を上回る結果となった。

●●●二大輸出市場への輸出状況●●●

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、10月の日本向け牛肉輸出量は、グレインフェッドの伸び率が前年同月比66%増と著しく、その結果、全体で同24%増の3万6千トンとなった。また、同月の対日輸出価格は、グラスフェッドフルセットで同9.2%高のポンド当たり202.2米セント(キログラム当たり444.8米セント、約476円/kg、1米ドル=107円)、ショートフェッドフルセットで同5.6%高のポンド当たり220.6米セント(キログラム当たり485.3米セント、約519円/kg)となるなど、ほぼ全ての品目で前年同期を上回っており、冬場にかけて牛肉消費量がピークを迎えるに当たり、豪州産牛肉への引き合いが強まっている。

 一方、10月の米国向け牛肉輸出量は、前年同月と比べて3%減少の3万6千トンとなった。米国内では、原油価格の上昇による消費マインド悪化の影響が出始めており、豪州産牛肉への需要が先細りつつある。豪州国内における生産体制の強化による供給量の増加も相まって、対米輸出価格は下落傾向にあり、10月の加工用90CL価格は前月と比較して11.7%安のキログラム当たり358.7豪セント(約291円、1豪ドル=81円)となった。

図 対日および対米輸出量の推移
資料:MLA調べ

●●●ASEAN市場の今後の可能性●●●

 豪州はASEAN5カ国(フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア)向け輸出市場の今後の可能性に関心を示している。2004年10月のASEAN5カ国向け牛肉輸出量は、豪州産牛肉の価格高騰の影響を受けて、前年同月比46.1%減と大幅に輸出量を減らした。しかし、豪州農業資源経済局(ABARE)は、長期的にみればASEANはGDP成長とともに豪州産牛肉の輸入量を拡大させると期待しており、今後ともFTAなどを通じて、ASEAN諸国の市場開拓を進めるものと見込んでいる。


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