ビクトリア州の大規模酪農家



ひとくちMemo

 ビクトリア州は豪州南部に位置し、比較的降雨量が多く、また、マレー川を利用したかんがい用水の利用にも適していることから、牧草に恵まれ、緑豊かなことから別名「ガーデン・ステイト」とも呼ばれる。このような自然環境から、ビクトリア州では、酪農が盛んに行われ、その生乳生産量は全国の6〜7割を占めている。また、生乳生産の時期は牧草の生育にリンクしており、季節変動が大きいことや生産される生乳の9割以上がチーズやバターなどの加工用に仕向けられることが一般的な特徴である。今回訪問したビクトリア州南西部の酪農家は、補助飼料やかんがい用水を積極的に利用し生乳生産量を高めている。この地域の平均飼養頭数は250頭(全国平均は197頭)、1頭当たりの年間平均乳量は約5,400リットル。生乳生産量の13%を占める酪農家が農地の20%以上にかんがい用水を利用している。

 

写真1(放牧) 敷地(放牧地、搾乳施設など含む)は、360ヘクタール、飼養頭数は910頭。
ホルスタイン種が主で、その他ブラウンスイスやそれらの交雑種、供用年数はだいたい4年。

写真2(かんがい設備)
 巨大なかんがい設備(センターピボット)、地下水を利用。
 

写真3(パーラー)
 一度に60頭搾乳できるロータリーパーラーを使用。15分で1回転する。搾乳作業は2人で行う。搾乳回数は朝5時からと夕方15時からの2回。乳量は一頭当たり年間約7,000リットルと平均を大きく上回る。労働力は家族4人と従業員2人。

写真4  搾乳を待つ乳牛(夕方)

 
  写真6(記帳書類)
 この酪農家はマレーゴールバン社へ生乳を供給しており、生乳の検査記録、購入したえさの記帳など同社の基準に基づいた安全性に配慮した生乳生産を行っている。また、人工授精の記録もすべて一頭ごとに記録している。人工授精は、年3回(1月、5月、9月)300頭ずつ行うことで、年間を通じて安定的な生乳生産を図っている。
写真5(バルクタンク)
 パーラーの隣に設置された大型のバルクタンク。容量20キロリットル。
 

写真7(肥料などの置場)
 牧草用などの肥料が置かれていた。飼料は、1頭当たり1日ライグラスなどの牧草10〜12kgとペレット8kgを給与している。ペレットはとうもろこし主体でマグネシウムやミネラルなどを添加したもの。この農場では4年前から使用しているが、干ばつ以降は一般的になってきているとのこと。
 

シドニー事務所 井上 敦司、横田 徹 



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