輸出競争力向上のため大豆の品質基準を改正
アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は、大豆の品質基準に係る決議801/2004号(2004年9月1日付け)を9月7日に公布した。
公布日にカンポスSAGPyA長官はプレスリリースで「この基準の目的は輸出製品の競争力強化のために品質を向上させることである」と話している。
また同基準は、アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)が管理することになっており、9月17日付けプレスリリースで「この新しい基準は、国内市場における取引の有効な基準になり、また生産者、輸出業者、加工業者などの取引をより確かなものにし、そして輸出市場に優良製品を提供することを保証することになる。主な変更点は、緑色の穀粒の含有許容量を厳しくした点で、このことは大豆油および大豆穀粒の主要な世界市場において、我が国の競争力を向上させることになる」としている。なお、この基準は2005年1月3日から施行されることになっている。
基準改正は急激な生産拡大が原因
アルゼンチンでは、旧農牧水産庁(SAGyP)決議第1075/1994号(1994年12月12日付け)によって、大豆、小麦、トウモロコシ、ヒマワリなどの品質基準が定められていたが、決議第801/2004号において以下の理由により大豆の品質基準の改正に至ったと説明している。
(1) 大豆作付面積が急激に増加し、大豆生産は国内でより大きな地位を占めるに至ったこと。
(2) 生産の拡大に伴い特定地域(後述するCIARAによれば北西部が該当)においてその地域に適合しない品種が栽培されたり、栽培期間が短縮されたことにより、収穫初期段階において緑色の穀粒増加が認められるようになったこと。
(3) 以前は農年度において貯蔵時に十分な成熟が行われていたが、生産量が増加したため成熟を待たずに穀粒が加工に使用されることになったこと。
(4) 緑色の穀粒は原料加工の工程において、特に油分へ緑色が色移りする問題などを起こしており、これに対しアルゼンチン油産業会(CIARA)は2002年、緑色の穀粒存在に起因する問題を提起し、大豆の商品化に係る品質基準の見直しを要請する文書をSENASAに提出していたこと。
(5) また、我が国の輸出の競争力を強化するため、最良品質の製品を国際市場に輸出することが必要であること。
(6) 旧SAGyP決議第1075/1994号附属基準XXUの大豆の品質に関する基準について、販売ロットの分類および清算を容易にするため改正し、販売時におけるパラメーター調整を行うことが必要であったこと。
飼料価格への影響はないと予想
上記(6)について決議では“取引において緑色の大豆穀粒の含有基準は5%、それを超える場合1%毎に0.5%が(筆者注:契約価格から)割り引かれ、含有率10%までが許容範囲である”とされている。このため、養豚・養鶏経営における大豆かす価格への低下が期待できるのではないかCIARAに質問したところ、「生産される大豆油の品質に係る割引率を参考に大豆穀粒取引における割引率を決めており、大豆かす価格のことは考慮されていない。よって大豆かす価格に変動はないと思われる」との回答であった。
またSAGPyAは、「大豆穀粒を飼料として利用している養豚農家もごく一部で存在しているが、大規模経営ではないので、穀粒利用の場合でも価格への影響は少ない」と見ている。
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