手作りチーズ振興計画をIICAが支援    ● ウルグアイ


チーズ生産州の基幹産業として支援

 南米の国際的な組織である農業協力機関(IICA)はこのほど、ウルグアイの手作りチーズの生産、加工、流通段階における競争力向上に寄与するプロジェクトの財源とする基金を農牧水産省(MGAP)が支援する「コロニア、サンホセ州手作りチーズ振興計画」の枠組み内に設立した。

 手作りチーズ産業は、ウルグアイ国内の生産者1,930人とその家族の直接の収入源となっているだけでなく、食品産業全体を通じて、国内農畜産業部門において重要な地位を占めている。また、このうち70%の1,300世帯がコロニアおよびサンホセ州に集中しており、同地域における主要産業となっている。

 ウルグアイのチーズ生産量についての公式な統計データは公表されていないが、IICAの推計によると99年の生産量は28,100トンでそのうち8,900トンが手作りチーズとされ、その約8割がコロニア州およびサンホセ州で生産されている。同地域にはスイスやイタリアからの移民が多く、彼らによる伝統的なチーズ作りの専門的知識が蓄積されている。

 手作りチーズ産業は、同地域において強化されてきているものの、その持続的発展を妨げる問題として、家族経営などの中小規模企業主体であることから、彼らに対する融資のための財政が不足していることが挙げられている。十分な予算措置がなされれば、同地域のチーズ生産への注目が集まるものと期待されており、こうしたことから、手作りチーズ生産者に対する支援の必要性が確認された。

中小規模経営を対象に融資

 今回のプロジェクトは、コロニア、サンホセ、フローレスの3州を含む地域における手作りチーズの生産・加工・流通に関わるすべての者を対象とし、ウルグアイの手作りチーズ産業の競争力向上のため、生産、衛生、品質の向上および手作りチーズ製造業者の純収入の増大を目的とするプロジェクトへ出資を行い、手作りチーズ産業の発展を支援することにある。

 支援を受けるためには、別に定められた参加条件を勘案した提案書を提出し、MGAP、手作りチーズ協議会(コロニアおよびサンホセ州のチーズ生産者等で構成)およびIICAによる審査を経て選抜される。

 提案内容は、以下の点に従って評価される。

・ 費用対効果を勘案して所得および収益性の増大につながる生産工程管理の改善

・ 生産・加工・流通段階における水平的または垂直的調整への改善

・ 実証モデルとして役立つプロジェクト

・ 製品の品質向上を目的とし、生産加工技術の向上、原料の適正または最終製品の衛生品質の向上を可能とする生産加工技術の改善

・ 国内外市場における商品化の改善

 採用されたプロジェクト1件に対し、総額の8割以内で2千ドルを限度として出資される。また、プロジェクトの実施期間は最長1年間と定められている。なお、出資に対する返還の義務は負わない。

 融資の対象となる項目として、一次生産、加工および商品化過程の技術設備の導入や消費財としての製品とサービスの購入(コンピュータやソフトの開発を含む)、ウエブページやVTRのデザインなど製品および企業の普及活動用資材作成、社外コンサルタントの利用は認められるが、建物改修のための投資、用地購入や賃借、債務の弁済は対象外とされている。


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