農産物の流通価格対策          ● フィリピン


物価対策会議を開催

 フィリピン農務長官は10月5日、これから年末年始にかけての畜産物価格を安定させるため、畜産団体など農業団体を集めて対策会議を開催した。結果は、各品目とも十分な供給が見込まれるとともに、各団体が価格の安定に協力することとなった。

 この会議の発端は、前日に物価の動きを監視する消費者石油価格監視協会の会長が、これから年末年始などの需要期を迎えるに当たり、食肉が不足するとの論評をラジオ放送で行ったことによる。同会長は、昨年末にも同様の発言をしていたが、鶏肉小売価格は実際に、昨年の12月から今年の1月まで1キログラム当たり90ペソ(171円:1ペソ=1.9円)が110ペソ(209円)を超える高値を記録した経緯があった。

 なお、現農務長官は大統領選挙の実施に伴う組閣で7月に任命されているが、前任者は、昨年末から今年初めにかけて国内の鶏肉価格が高かったにもかかわらず輸入を増やさなかった理由を、鳥インフルエンザの発生による鶏肉の国際価格の急騰とペソの対ドル為替レートの下落で輸入価格が高騰し、価格沈静効果が期待できなかったなどと説明している。

農家販売価格と小売価格の差

 食肉が不足するとの論評のとともに、同日行われた上院の貿易産業委員会でのブロイラー生産者組合協会(UBRA)の同会長はラジオ放送の中で、「農家販売価格が低いため、生産意欲が減退し、鶏の飼養羽数は減少している一方で、1キログラム当たり54〜56ペソ(102〜106円)だったものが、40ペソ(76円)に落ち込んでいる。この価格は、60ペソ(114円)の生産原価を下回っている。また、ウェットマーケットでの小売価格は90ペソ(171円)を超える水準を維持しており、理解に苦しむ」と述べた。

 これを受けて同委員会の議長は、需要期での供給不足を避けるため、農務省と貿易産業省に対して、農家販売価格と小売価格の差がどのようにして生じるのか調査するように申し入れた。

流通業者の見解

 鶏肉の供給不安に関して、同国ブロイラーインテグレーターズ協会(PIBI)は、自国の鶏肉産業は十分な供給量がある上に冷凍品の在庫もあり、供給に関しての心配は不要と説明した。また、農家販売価格が下落した背景については、政府が国内価格安定を理由に、低率関税で2万3千トンのミニマムアクセス輸入のほかに特別セーフガードを6月に中断し、別に5千トンの輸入枠を設定して急激な輸入を行ったための供給量の増加によるとしている。

流通パイロット事業

 このような鶏肉を含む農産物の供給と価格の問題に関して、農務長官は、供給量の動向が小売価格に反映する流通形態を構築することで、生産、加工そして流通コストが削減されると考えており、現在、ミドルマンと言われる中間業者が介在することによって上昇するコストをできるだけ削減するため、生産者と小売業者を近づける計画を進めている。

 具体的には、最初はマニラ市やケソン市など5カ所のウェットマーケットで、パイロット事業として生産者が直接販売する形をとり、クリスマスアプローチと命名し、最終的には35カ所のウェットマーケットで実施することとしている。

 特に鶏肉に関しては、PIBIなどの供給サイドと、飼料トウモロコシ価格が現状を維持することなどを条件に、1キログラム当たり60〜62ペソ(114〜118円)で提供を受ける約束を取り付けているとしている。


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