ウシゲノム塩基配列の第一次案公表される    ● 米 国


USDAウシゲノムの塩基配列データを公表

 米国農務省(USDA)は10月6日、ウシゲノムの塩基配列の第1次案を世界的な生物医学や農業研究の目的で使用される無料の公的データベースにおいて公開を開始したことを公表した。

 この計画は、5,300万ドル(約56億7千万円、1ドル=107円)が投じられ、全国衛生研究所(NIH)に付属する全国ヒトゲノム調査研究所(NHGRI)をはじめ、USDAの共同州研究教育普及局(CSREES)や農業研究局(ARS)、テキサス州立大学のほか、カナダ、豪州、NZの研究機関などの参加も得て実施された。今回の一連の解析作業は2003年の12月に開始され、ヘレフォード種を基幹種として進められた。全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)も研究や消費拡大のために集められたチェックオフ資金から60万ドル(約6,420万円)をこの計画のために拠出している。

 USDAのジェン次官は、「ウシゲノムの塩基配列の解明は、この計画を前進させた国際的な協力ならびにこのデータベースがヒト(ゲノム解析)や農業研究にもたらすことが期待される前進の双方の観点から偉大な業績である。協力とチームワークがこの計画が進められた原動力の1つであり、この大きな科学的躍進に多くの時間を費やしてきた方々に感謝する」とのコメントを公表した。

 USDAはウシゲノムの解析は、(1)肉牛生産や酪農における牛肉や乳の生産において、より適切かつ効率的な方法の確立につながる基礎生物学上の成果、(2)牛の衛生管理の改善や牛肉や牛乳の栄養的な価値の向上につながる農業研究の手段としての有効性が期待されるとしている。また、遺伝子座の確定や個々の遺伝子の機能の解明により、家畜や畜産物の遺伝子を用いた追跡や疾病に抵抗性を有する家畜による抗生物質の使用削減などによる安全な食品供給の向上も期待されるとしている。

 個々の遺伝子における詳細な情報の解明を目的とするcDNAの完全な解析作業はブリティッシュ・コロンビアがん研究所において行われている。

 ウシゲノムはヒトやほかのほ乳類のゲノムとその大きさは似ており、およそ3,000億のDNA基礎配列から構成され、およそ25,000の遺伝子を含むと推計されている。ヒトゲノムなどとの比較解析結果は数カ月以内に公表される予定である。

 また、今後、ホルスタイン、アンガス、ジャージー、リムジンなどについても簡易なゲノム解析が計画されている。

 解析データは以下のウエブサイトなどで閲覧が可能である。(http://www.ddbj.nig.ac.jp

◎FDA、BSE陽性牛の動物飼料への使用に関するガイドラインを 公表

 食品医薬局(FDA)は9月30日、「BSE陽性牛の動物飼料への使用」と題するガイドラインを公表した。このガイドラインは、USDAによるBSEサーベイランスの大幅な拡大を受けて作成されたものであり、法的な拘束力はないが、直近のこの問題に関するFDAの考え方を整理したものとされ、意見公募も行われている。

 具体的には、BSE陽性牛由来の原料を含む動物飼料については、リコールまたは市場から隔離することを推奨するとしている。


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