米政府、加産生体豚をダンピングと仮決定


ダンピング率は、最大15.01%と発表

 米国商務省(DOC)は10月15日、アイオワ州などの生産者団体や119の養豚生産者から今年3月に申請のあった、カナダから輸入される生体豚に対するアンチダンピング(AD)調査に関し、 ダンピングであると仮決定について発表した。

 今回の仮決定に当たりDOCは、カナダの輸出業者の2003年における米国向け価格、カナダ国内向け価格、生産コストについて調査したとしている。それらの結果として、米国向け生体豚輸出額の20%を占める輸出業者上位3社については、オンタリオポーク社(2003年米国向け輸出額約3,300万ドル(約35億3,100万円、1ドル=107円))がダンピング率13.25%、プレミアムポーク社(同輸出額約2,650万ドル(約28億3,550万円))が15.01%、ハイテック社(同輸出額約2,530万ドル(約27億700万円))が0.38%であったとするとともに、そのほかの輸出業者(同輸出額約3億450万ドル(約325億8,150万円))についてもダンピング率が14.01%であったとしている。これらからDOCは、カナダからの生体豚輸入が ダンピングに当たるとした。

DOC、早ければ来年4月末から、生体豚に対するアンチダンピング税を賦課

 DOCでは今後、関係者から仮決定に対するコメントを受け付けた後、2005年3月7日には最終決定を行う予定であるとしている。DOCの最終決定が行われると、米国際貿易委員会(ITC)が、DOCの結果に基づき アンチダンピング税を賦課するか否かについて2005年4月21日までに決定する予定となっている。仮にITCがアンチダンピング税賦課の決定を行なった場合、DOCが2005年4月28日(予定)には アンチダンピング税賦課を指示することになるとしている。

 NPPCは10月15日、今回のダンピングに関する仮決定に対しては、当然の結果だとするとともに、相殺関税を適用することはできないとするDOCの仮決定について、「再度詳しく分析すればカナダの補助金プログラムは違法である」とするカスパー前NPPC会長(現アイオワ州豚肉協議会会長)のコメントを出している。

DOC、相殺関税は適用されないとの仮決定は公表済み

 一方、DOCは8月17日、今回のアンチダンピングに対する調査とともに申請されていたカナダの養豚生産関連の助成措置に対する相殺関税に関する調査については、これを適用しないとの仮決定を発表している。

 DOCでは、カナダ政府が行う22の補助金プログラムについて調査した結果、例えば価格安定プログラムは、カナダの養豚業界だけを明確に対象としたものではなかったなどとしている。これらの結果から正味の補助金水準はデミニミス(de minimis:最小限の政策)であったとし、カナダの補助金プログラムにより米国側が損害を被ったとはいえず、相殺関税を適用することはできないとの仮決定に至ったとしている。


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