BSEの影響による牛肉価格の動向が鍵


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 12月の枝肉生産量は前年同月1.9%減 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると12月の枝肉生産量(枝肉重量べース)は前年同月比1.9%減の93万8千トンとなった。2003年1〜12月では前年比2.8%減の1,194万3千トンとなった。と畜頭数は、前年同月比1.0%増の279万9千頭、2003年通年では前年比0.6%減の3,558万5千頭となった。(下図参照)

 2003年通年のと畜頭数は、前年並であるのに対し、1頭当たりの枝肉重量が減少し枝肉生産量は減少となり、12月も前年同月比1.9%減の93万8千トンとなった。


図1 枝肉重量の推移

USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」

● ● ● 牛肉価格の動向 ● ● ●

 USDAの部分肉価格(カットアウトバリュー:各部分肉の卸売価格をプライマルカッツ(大分割)に再構成した卸売指標価格)、チョイス級ロインおよびショートプレートは、それぞれ、肥育牛価格が前年同月を上回った2003年4月から値上がりを始め、12月26日時点でロインは、4月最終週と比較すると10.7%安の100ポンド当たり195ドル(キログラム当たり464円、1ドル=108円)、ショートプレートでは同8.9%高100ポンド当たり93ドル(キログラム当たり221円)となった。

図2 部分肉価格、肥育牛価格の推移

USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」
USDA/AMS「Weekly Cutout Value」

● ● ● 米国内で初めてのBSE確認、市場の大きな変化は確認できず ● ● ●

 米国政府は12月23日、BSEを疑う牛がいることを発表した。これによると12月9日にワシントン州で歩行困難でと畜された乳用種の雌牛がBSEサーベイランスの一環でサンプリング検査を受け12月22日にBSE陽性との判定がなされた。

 クリスマス休暇にかかるこの時期は、市場等も休みが多くまた、食肉の需要は七面鳥などが主なものとなり、一般的には牛肉の需要期でないこともあり、前述したUSDAの部分肉価格、チョイス級ロインおよびショートプレートについて、11月末と12月末の価格を比較すると、それぞれ11.1%、9.3%安を示したが、12月末の前年同月比で見てみるとそれぞれ10.8%、40.6%高と依然として高値傾向が続いている。

 BSEが確認され各国は、相次いで米国産牛肉等の輸入停止措置を実施した。米国の2002年の牛肉輸出量は111万トンと枝肉生産量1,228万5千トンに対してわずか9%に満たない。また、消費量は1,264万9千トンで需要の不足分を輸入で賄う需給構造となっている。BSEの発生が牛肉の不需要期とも重なり、現時点では牛肉の需給に大きな影響を与えているとはいいがたい状況にあると考えられる。



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