ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)が2003年12月に公表した短・中期予測によると、生乳生産量(乳固形分換算)は、2003/04年度が前年度比3.4%増の123万トン、3年後の2006/07年度には2003/04年度と比べ13.8%増の140万トンに達すると予測している。10年以上にわたっておおむね増加傾向で推移してきた経産牛頭数が、今後も増加するとの見方に基づいている。なお、この予測は、水不足や土地の利用制限などの特別な障害がない場合を想定している。
図1 生乳生産量と生産者価格の推移と予測
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資料:NZDB「New Zealand Dairy Manufacture Statistics」、
MAF「SONZAF」
注1:03/04年度は推定、04/05年度以降は予測値
2:生産者価格は乳固形分1キログラム当たりの価格 |
● ● ● 乳製品の国際価格はすべての品目で回復と予測 ● ● ●
なお、生乳生産者価格は、03/04年度は前年度より上昇し乳固形分1キログラム当たり4.14NZドル(約298円:1NZドル=72円)と14.4%高になるとみている。なお、2006/07年度までは、乳製品の国際価格の下落とNZドル高により輸出額が減少したため、2002/03年度の同3.62NZドル(約235円)を上回って推移すると予測している。
乳製品の国際価格は、全粉乳、脱脂粉乳、チーズ、バター、カゼインのすべての品目で2002/03年度を底として好調な回復を見込んでいる。2001/02年度の価格水準には及ばないものの、2006/07年度までおおむね前年度を上回って推移するとみている。特に単価の高いチーズは、競合する豪州が干ばつの影響から数年間はチーズ輸出量が減少すること、OECD諸国で家庭や外食産業でのチーズ消費が伸びていること、ファストフード産業からの需要が伸びていることなどを挙げている。
図2 国際乳製品価格の予測
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資料:MAF「SONZAF」
注1:03/04年度は推定、04/05年度以降は予測値
2:カゼインのみ右目盛り |
● ● ● 今後のNZドル高と天候が懸念材料 ● ● ●
このようにおおむね好調が予想されているが懸念材料もある。その1つにNZドルの今後の推移である。チーズなどの主要な輸出先である米国や欧州の通貨に対してNZドルが高値となっており、乳製品輸出に影響を及ぼす可能性が高く、輸出量・額の減少は生産者価格の下落にもつながる。また、2002/03年度はエルニーニョ現象の発生により北島の南西部では夏から秋にかけて厳しい干ばつに見舞われ、同地域の生乳生産量は前年度よりも8%減少した。放牧を主体としているNZの酪農にとって、天候こそ生乳生産を最も左右させる要因と言えよう。
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