大豆と競合して減少するトウモロコシを振興 ● アルゼンチン


トウモロコシ生産等を振興する協会が設立へ

 アルゼンチンでは、価格的な優位性などから大豆生産が増加しトウモロコシ生産が減少する中、トウモロコシの生産振興等を目的としたアルゼンチントウモロコシ協会(MAIZAR)の正規の設立(登記完了)に向けた総会が12月12日に開催された。当協会の構成メンバーには、生産、流通、取引、加工、研究等の官民の約30の団体となっている。

 協会の設立目的は、(1)輪作などの農業生産システムにおいて、トウモロコシの作付けおよび生産量を増加させること(2)トウモロコシの加工製品化(例えば加工食品やアルコールなど)および輸出量を増加させること(3)トウモロコシ副産物等の品質を改善し、相違性や付加価値をつけて世界市場における取引を増大させること−により、市場におけるアルゼンチン産トウモロコシの競争力強化を図り、最終的にはトウモロコシ関連業界の収益性を増加させることである。

 同協会の構想が持ち上がった背景としては、2001年ブエノスアイレス州にある農業技術者の協会(AIANBA)から生産者の利益を代表するトウモロコシに関する協会を設立するアイデアが発案されるとともに、栽培期間が競合する大豆に押されトウモロコシの生産が近年減少傾向で推移していることに将来の展望を懸念する声があがったことで、すべての関係者を取り入れた協会の設立が必要とされたためである。

MAIZAR、活動方針を細かく規定

 MAIZARの具体的な活動方針は、以下のとおりである。

(1) トウモロコシの関連産業(生産、流通、取引、加工、研究等の部門)の利益を代表して行動すること

(2) 市場および国際取引の規律にアクセスする条件を交渉する公的機関と連携すること

(3) 品質および生産性の向上を図り、加工などの利用方法や競争力を強化させる政策プログラムを推進すること

(4) トウモロコシの使用方法を普及すること

(5) トウモロコシの競争力を強化するため、重要な案件を決定するフォーラムに参加すること

(6) 補助金や市場アクセスに係る障害を撤廃するすべての案件について所管官庁と協力すること

(7) 生産および商品化システムを強化するため、会員が相互に補完協力することを定めた同協会の決議を通して、生産、工業、商業の各部門を連携強化させていくこと

(8) トウモロコシおよびその副産物の生産において、環境への影響が少ない手法を優先させること

(9) 政治家などの政策リーダーおよびアルゼンチン社会が認めるような国家経済に大きな貢献をもたらすトウモロコシに係る生産活動を促進すること

2003/04年度も作付面積の減少が見込まれる

 毎月1回アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は、2003/04年度の主要作物の作付予測を発表しており、これを1カ月前の10月15日のものと11月14日のものとを比較すると、

(1) 小麦は作付けがほぼ終了していたため、前年比4.8%減の600万ヘクタールと前回と変わらず

(2) トウモロコシは同1.9%増から同5.6%減の291万ヘクタールと一転して減少

(3) ひまわりは同7.1%減から同9.6%減の215万ヘクタールとさらに減少

(4) 大豆は同2.9〜6.9%増から同9.1%増の1,375万ヘクタールとさらに増加

と予測されている。降雨があるまで作付時期をなるべく遅らせ、干ばつの影響を避けるため他の作物より作付期間が長い大豆の作付けに生産者が移行していることなどから、大豆以外の作物は減少する見込みとなっている。

 なお、12月12日の予測ではトウモロコシはさらに減少し279万ヘクタールとなっている。

 国際市場における大豆価格の上昇も相まって大豆生産が躍進するなか、MAIZAR設立によって大豆を抑えてどこまでトウモロコシ生産を回復できるか注目される。

○ アルゼンチンにおける主要作物の作付面積推移
(単位:千ha)
資料:SAGPyA
注:2003/04年度は11月14日現在の予測

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