牛肉消費量の減少要因は小売価格の上昇
豪州農業資源経済局(ABARE)は、四半期ごとに発表している豪州一次産品生産見通し(Australian Commodities)の最新号(12月発行)の中で、豪州国内の食肉消費量の見通しを報告している。この中で、2003/04年度の鶏肉消費量は1人当たり35.7kg(枝肉換算、以下同じ)と、牛肉の消費量35.0kgを初めて上回ると予測している。
この報告によると、2003/04年度の主要な食肉(牛肉、羊肉、豚肉、鶏肉)の消費量は、1人当たり108.9kgと前年度に比べ2%減と見ている。消費量の増減については、種類別に小売価格との関係を次のように説明している。
・牛肉の消費量は、干ばつによる供給量の減少から小売価格が6%上昇するため、6%の減少。
・羊肉(ラム)は、供給量の減少に加え海外からの強い需要により家畜市場での販売価格が高騰するため、小売価格が7%上昇し、その結果、消費量は3%減少。
・反面、豚肉は小売価格が2%上昇するものの、消費量は約2%増加。鶏肉は、小売価格が2%低下し、消費量は2%増加。豚肉と鶏肉の消費量の増加は、干ばつの影響の緩和による飼料穀物価格の低下が、小売価格に好影響を及ぼす結果とみている。
豪州の食肉消費傾向―鶏肉、豚肉が伸び牛肉、羊肉は減少
また、同報告では、過去40年間の豪州の食肉消費傾向について次のように分析している。
・豪州では主要な食肉の消費量は、過去40年間大きな変化はなく、1人当たりおおむね100kgを超える水準で推移しているが、食肉の種類別消費構成をみると大きく変化してきている。鶏肉や豚肉の消費量は、1960年当時は合わせて全体の13%にすぎなかったが、2002年には52%まで増加している。中でも、鶏肉の消費量が最も増加しており、1981年から2002年までの間、平均年2.7%ずつ伸びている。豚肉も同様に平均年1.3%ずつ増加している。
・それに対して、羊肉や牛肉の消費量は大きく減少している。羊肉は、1960年に1人当たり46kgであったが、2002年には15kgまで減少した。特に、1970年代にはマトンの消費が急速に減少した。この要因は、1970年代に牛肉価格の低下を背景に牛肉消費が急速に増加したことによる(1977年は1人当たり69kgに達した)。牛肉は羊肉に代わり消費が一旦増加したものの、1981年から2001年の間、平均年1.2%ずつ減少した。
このように、同報告は過去においても、小売価格の変化が食肉の購買動向に大きく影響を及ぼしてきたとみている。また、その他の要因として、消費者の所得や味覚、食肉調理法、食品サービス、人口構成などの変化を挙げている。
ただし、2002年は小売価格が上昇したにもかかわらず、牛肉の消費が伸びた。その要因は、(1)干ばつによる生産量の増加 (2)国内市場でグレインフェッド牛肉の人気が増した−などとしている。
○ 食肉の国内消費予測
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