2003年の中国養鶏産業


2003年SARSの影響により中国の家きん市場は低迷

 米農務省海外農業局(USDA/FAS)の予測によると、2003年米国は、中国にとって最大の家きん肉の供給者であり、2004年も競合相手の出現もなく同様に最大の供給国となるとされている。また、ブラジルなど米国以外の供給先は中国での加工業者への販売のみが許可されているが、米国は2国間協定によって小売業者へ直接家きん肉やその他の肉の販売が認められている唯一の国となっており、他国に比べ優位な立場にいる。

 2004年の中国の家きん肉生産は、前年比2%減の1,010万トンが見込まれている。SARSの終息とともに国内消費も回復に向かうとともに、主な輸出市場である日本やEUへの輸出再開による需要が期待できる。2003年前半は前年比6%以上の家きん肉生産コスト減がトウモロコシなどの飼料価格の低下により見込まれているが、SARSの影響により2003年全体では低調となる。これは、一部にSARSが家きん肉により伝播されるという噂が広まり、家きん肉の消費や販売価格を押し下げる結果となったことが影響している。しかし、現在はSARSの終息に伴い噂も消え、消費も平年並みに回復してきている。

家きん肉およびその加工製品の生産動向

 2003年の中国の全体の食肉生産に占める家きん肉の割合は前年比2%増の約21%となった。とりわけ鶏肉については国産品種が代表的であり、その他にカモやアヒルも海外市場において高い収益を得ている。カモやアヒルは健康嗜好を背景に年々需要が伸びている。

 中国政府は2003年1月から食用に供される家畜の動物用医薬品の使用について承認するGMPシステムを導入した。また、家畜のと畜や流通段階での基準となるQSシステムの実施も検討している。安全管理と品質の改善を行うことによって国内および国際市場における位置付けを確保しようとしている。しかし、家きん農家の70〜80%が小規模な家族経営となっており規模拡大が今後の課題となっている。

消費の形態の変化とともに品種も変化

 中国国民の収入額が増加するとともに生活の水準も向上し、鶏肉消費もそれに伴い増加した。さらに、加工食品(部分肉や半調理製品)の割合が高まっている。また、消費者はブランドがより良い品質を提供することを知っており、生産者や製造者のブランドによる選別を行うようになっている。

 従来、高品質の国産ブロイラーは所得水準が高い南の沿岸地域の大都市部で消費されている。これらの高品質ブロイラーの生産は急速に伸びている。この状況は今後数年にわたり継続するものとされている。中国の消費者は、高品質の国産ブロイラーの肉色と味が外国産ブロイラーよりも伝統料理に適すると考えられているためとされている。


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