経営の効率化が進むNZの酪農業


◇絵でみる需給動向◇


●●●2002/03年度の乳価は前年度を上回る●●●

 ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)が公表した短・中期予測(SONZAF)によると、2003/04年度(2003年6月〜04年5月)の生産者に対する支払乳価は、前年度比14%高の4.15 NZドル(約295円;1NZドル=71円)になるものと見込んでいる。製品販売価格の上昇と生産者に乳価を支払うフォンテラ社のコスト削減の効果により、NZドル高の為替差損を相殺できるものと見込んでいる。

●●●1戸当たりの平均生乳生産量は6.2%増●●●

 コスト削減など酪農経営の効率化の効果は、1戸当たりの生乳生産量にも表れている。NZ家畜改良公社(LIC)によると、2002/03年度(2002年6月〜03年5月)における1戸当たりの平均生乳生産量は前年度比6.2%増の1,058キロリットル、乳固形ベースでは同7.3%増の90キログラムとなった。NZの酪農は、放牧主体で労働力、設備投資、飼料コストなどを極力抑えた低コスト生産により、年々生産効率が増している。

 なお、地域別にみると、北島の1戸当たりの平均生乳生産量が前年度比5.1%増の924キロリットルであるのに対し、近年生産規模を拡大しつつある南島は、前年度比6.5%増の1700キロリットルと、実績では南島が北島の平均生産量をしのいでいる。

表1 1戸当たりの平均生乳生産量と乳固形ベース

資料:LIC「Dairy Statistics 2002-03」

●●●シェアミルカーの構成比率は年々増加●●●

 NZの酪農経営は大別すると2つの形態となる。1つは農場オーナー、もう1つはシェアミルカーで、2002/03年度の構成比率はそれぞれ62.5%、36.9%となっている。

シェアミルカーは、伝統的に酪農経営への第一段階だといわれており、オーナーとの契約により農場の作業のすべてを行い、農場収入を一定の割合で受け取っている。

 LICによると、2002/03年度におけるシェアミルカーの1戸当たりの平均生乳生産量は、前年度比6.2%増の1,167キロリットル、乳固形ベースでは前年度比4.9%増の101キログラムと、双方とも全酪農家の平均(上述)を上回っている。直近10年の構成比率の変遷をみると、農場オーナーが減少傾向であるのに対し、シェアミルカーは増加傾向にある。酪農家の戸数全体が近年減少している中で、シェアミルカーは構成比率を伸ばしている。

 シェアミルカーの契約は、農場オーナーとの分配率が50:50が最も多く、全体の6割近くを占めており、主流となっている。この形態は、農作業全般のみならず農場経営まで広範にわたって責任を負い、オーナーは土地所有のみである。しかし、農場価格の値上がりやコスト増などから農場オーナーへの道が遠のいている状況となっているのが現状である。

表2 シェアミルカー構成比率
資料:LIC「Dairy Statistics 2002-03」


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