EUの牛飼養頭数、減少傾向続く


◇絵でみる需給動向◇


●●●牛飼養頭数は前年比1.4%減●●●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によると、2003年12月(または11月)時点におけるEU15カ国の牛飼養頭数は前年に比べて1.4%減の7,741万2千頭となった。これは近年で最も多かった1995年の8,475万9千頭に比べ8.7%(734万7千頭)下回るものであり、96年以降毎年減少している。本年5月1日に加盟した東欧諸国など10カ国(AC10)の飼養頭数は同2.4%減の998万8千頭となった。

 EU15カ国をカテゴリー別にみるとすべての部門において減少しており、「1歳以上の未経産牛(と畜用)」の減少が最大となっている。

表1 EU15のカテゴリー別牛飼養頭数
(単位:千頭、%)

注:各年11月または12月時点の頭数

●●●フランス、ドイツは減少、イギリスは増加●●●

 国別にみると、EU15カ国のうちイギリス、イタリア、スペイン、ギリシャでのみ前年同期に比べて増加しており、イギリスでは昨年の調査で「乳用および肉用経産牛」が増加し繁殖基盤の拡大を反映して、今回の調査では「1歳未満の子牛」などで大きく増加し、全体では前年比1.1%増の1,050万4千頭となった。一方、主要飼養国であるフランスおよびドイツではともに「1歳以上の未経産牛」で大きく減少したため、それぞれ同2.9%減の1,918万1千頭と同2.5%減の1,338万6千頭となった。

 一方、新規加盟国においては主要飼養国であるポーランドで乳用経産牛の減少などから前年比2.7%減の527万7千頭、チェコは同2.4%減の142万7千頭となった。全体ではリトアニアおよびエストニア以外のすべての国で減少傾向にあり、AC10カ国合計では、同2.4%減の998万8千頭となった。

表2 EU25の国別牛飼養頭数
(単位:千頭、%)

注:各年11月または12月時点の頭数

●●●2003年新規加盟国の牛肉輸出は減少●●●

 また、MLCによれば、2003年1月から8月までの新規加盟国の牛肉輸出量(冷蔵・冷凍)は、関税割当制度が導入されたロシア向けの輸出が減少したことなどにより、2002年の同期間と比較して36%減の3万9千トンとなった。新規加盟国最大の牛肉輸出国であるポーランドが2万7千トンと全体の約7割を占め、主要相手先はロシア、マケドニアなどであった。また近年、輸入特恵措置などからオランダ、イタリアなどEU域内への輸出が増加しそれぞれ6,800トンと3,700トンとなった。

 一方、新規加盟国最大の牛肉輸入国はマルタで、同期間における輸入量は4千トン、その4分の3はイタリア、アイルランドなどEU域内からのものであった。



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