2004年の輸出見込みは大幅に下方修正


◇絵でみる需給動向◇


●●●2003年輸出実績●●●

 タイ・ブロイラー加工輸出協会が公表した2003年の冷凍鶏肉および鶏肉調製品の輸出実績によれば、冷凍鶏肉の輸出量は下半期に月平均3万トン台を維持し、通年で38万9千トンとなり、前年比で14.7%とかなりの増加となっている。一方、鶏肉調製品においても同様に、下半期に月平均1万4千トン前後と好調を持続した結果、通年で15万7千トン、前年比で22.9%と大幅に増加した。

 なお、同協会による推計輸出額は、冷凍鶏肉単価を1キログラム当たり73バーツ(204円:1バーツ=2.8円)、鶏肉調製品単価を同127.5バーツ(357円)とした場合、冷凍鶏肉が283億9千万バーツ(795億円)、鶏肉調製品で199億9千万バーツ(560億円)とされている。

●●●鶏肉調製品の輸出が増加●●●

 国別にみると、冷凍鶏肉では日本向け輸出は前年比約3%減の18万8千トンとなり、輸出全体に占める割合も57%から48%とかなり縮小しているものの、鶏肉調製品では前年比27%増の8万4千トンと大幅に増加している。輸出全体に占める割合は52%から53%に増加している。

 冷凍鶏肉は日本を除くアジア地域の需要増、特に韓国、中国への輸出が大幅に増加しており、日本を除くアジア全体では前年比51%増の9万4千トンと、EUの9万8千トンに迫る勢いをみせている。EU内では特に、ドイツへの輸出増が著しい。

表 国別輸出状況(2002/2003)
(単位:トン)

資料:タイ・ブロイラー加工輸出協会

 鶏肉調製品では地域別の輸出量の割合には余り変化が見られないが、特に日本とEUへの輸出の伸びが著しい。

図 地域別輸出状況(2002/2003)

●●●大幅に下方修正された2004年見込●●●

 タイ・ブロイラー加工輸出協会の発表による2004年の輸出見込みは鳥インフルエンザの発生により、主要輸入相手先各国からの冷凍鶏肉に対する需要減などの影響を受けて、大幅に下方修正された。今年1月末現在の発表では2004年の輸出見込みは冷凍鶏肉が45万トン、鶏肉調製品が18万トンであるのに対し、4月末日現在の同協会による見込みでは冷凍鶏肉が約14万トン、鶏肉調製品が約22万5千トンとされている。これは2003年の輸出実績に比べると、冷凍鶏肉では53.7%の減、鶏肉調製品で43.5%の増加となる。

 同国では近年、鶏肉輸出に占める調製品の割合を高めている。同国大手インテグレーターであるチャロン・ポカパン・フーズ(CPF)社は鳥インフルエンザの影響により2004年の増益目標を昨年実績の10%から、5%にまで下方修正予測しているものの、ナコン・ラチャシマ県を中心に鶏肉調製品基地の建設により、さらなる調製品へのシフトを表明している。なお当該養鶏基地の本格稼働を2005年からと予定しており建設費用総額85億バーツ(238億円)と発表している。

 このように、同国ではこのたびの疾病発生により輸出鶏肉産品に占める調製品の割合は益々高まると予想されている。



元のページに戻る