2003年の域外向け豚肉輸出はほぼ横ばい


◇絵でみる需給動向◇


●●●輸出は横ばい、輸入は増加●●●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)によれば、2003年のEU(ギリシャを除く)の域外向け豚肉(生体豚、調製品およびラードなどを含む)輸出量は前年とほぼ横ばいの150万7千トンとなった。EU最大の豚肉輸出国であるデンマークの輸出量(生体、加工品等を含む)は約61万トンで、その3分の2が冷蔵・冷凍肉であった。次いでドイツが21万5千トンで、その約3分の1は内臓肉であった。また、依然として主要輸出相手先であるロシア向けは28万7千トンであったが、11万2千トンはラードであった。

 一方、域外からの輸入量は、ポーランドとハンガリーからの冷蔵・冷凍肉の輸入量が増加したことから、対前年比33.5%(1万8千トン)増の7万2千トンとなった。主要な輸入国は、ドイツ、イタリアで、その輸入量はそれぞれ1万9千トンと1万8千トンとなっている。内訳は、冷蔵・冷凍肉の輸入量が対前年比38.7%(1万4千トン)増の5万1千トン、ソーセージ等加工品が10.3%(1,300トン)増の1万4千トン、生体豚の輸入量が約400トンとなった。

EUの豚肉域外輸出入量(2003年)
(単位:千頭、%)

●●●豚肉への輸出補助金を終了●●●

 こうした中、EUの豚肉管理委員会は2004年3月16日、これまで低迷していた域内の豚肉価格がおおむね回復したとして、2004年1月末に導入した豚枝肉(生鮮・冷蔵、冷凍)などに対する輸出補助金の終了を決定した。

 これまでEU域内の豚肉価格は、(1)牛肉消費の回復などから域内の豚肉需要が停滞したこと(2)ロシア向けなど域外向け輸出が減少したこと-などから低迷していた。これに対処するための例外的措置として、EU域内から新規加盟国(注)およびルーマニア、ブルガリアの加盟候補国以外の第3国に輸出される豚枝肉などに対する輸出補助金を2000年6月以来約3年半ぶりに再開した。2004年1月上旬には100キログラム当たり112ユーロ(約1万5千円、1ユーロ=130円)と低迷していたEU域内における平均枝肉価格は、3月上旬には100キログラム当たり135ユーロ(約1万8千円)まで回復したため(上図:豚肉枝肉卸売価格参照)、輸出補助金の終了が決定された。今回の輸出補助金では、約7万〜7万5千トン(2,000万〜2,500万ユーロ(約26億〜33億円))の豚枝肉などが対象となった。なお、同管理委員会は豚肉加工品については、依然として価格が低迷している(特にフランス)ことから輸出補助金を継続することとしている。

(注):キプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニアの10カ国

●●●デンマーク豚肉輸出量増加見込み●●●

 EU最大の豚肉輸出国にあるデンマーク豚肉輸出機構連合(DS)によると、今後、同国からの新規加盟国への豚肉輸出量は、ポーランド、ハンガリーやスロバキアの豚肉消費量の増加などから、今後3年間で現在の4倍に当たる18万トンに増加すると見込んでいる。ポーランド、ハンガリーは新規加盟国の中でも主要な豚肉生産国であり、現在は両国とも自給することができるが、今後は国内の生産だけでは需要が不足することに加えてほかの新規加盟国の多くの国も輸出市場になると見込んでいる。また、これら新規加盟国への豚肉輸出については、オランダやスペインなどの現加盟国との競争にさらされるものと見込んでいる。



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