欧州委、EU産農産物の販売促進対策の報告書を発表


過去3年間の販売促進対策の報告書を発表

 欧州委員会は4月5日、2001年から2003年の間に実施された、EU域内および域外でのEU産農産物の販売促進対策の実施状況を取りまとめた報告書を発表した。

 EUでは、80年代の初めから、農産物の販売促進活動に対する補助を実施している。99年までは、農業の各分野で規則を定め実施してきたが、この年、12分野にわたる委員会規則を統合し、域外市場でのEU産農産物の情報提供・販売促進に関する理事会規則(EC/2702/1999)、また、2000年には域内市場での農産物の情報提供・販売促進に関する理事会規則(EC/2826/2000)を定めた。これらの制度では、EU域外、域内での、(1)EU産農産物の販売促進のための広報、宣伝(2)国際的または国内における食品イベント、フェア、展示会への参加(3)地理的表示(GI)に関する制度に登録された産物の品質・表示に関するキャンペーン(4)情報提供・販売促進対策の結果を評価する調査などを実施することとなっている。また、EUの補助率は、活動内容により事業費の50%または100%となっている。

 それぞれの規則において、欧州委員会は2003年までの販売促進対策の実施状況を取りまとめた報告書を作成し、欧州議会、欧州理事会に提出することが定められており、今回発表された報告書は、これに基づき発表されたものである。また、本報告書は、現在の事業実施方法の見直しについても目的としている。


域外向け事業の概要

・ 域外向けの事業については、55件の申請のうち30件が承認され、事業費の総額は、4,500万ユーロ(約57億6千万円:1ユーロ=128円)、うちEUからの補助は、2,270万ユーロ(約29億6百万円)であった。

・ 主な対象国は、米国と日本であり、その他は、スイス、ポーランド、チェコであった。

・ 分野別では、複数の農産物を対象としたものと、果物・野菜を対象としたものがそれぞれ9件であった。畜産の分野では、牛乳・乳製品が3件(EUからの補助(240万ユーロ(約3億円)、食肉が3件(同580万ユーロ(約7億4千万円)であった。


域内向け事業の概要

・ 域内向けの事業については、191件の申請のうち94件が承認され、事業費の総額は、1億6,620万ユーロ(約212億7千万円)、うちEUからの補助は、8,310万ユーロ(約106億4千万円)であった。

・ 分野別では、果物と野菜を対象としたものが24件で、EUからの補助額全体の45.7%を占めた。これに次ぎ、乳製品が16件で、同11%に相当する880万ユーロ(約11億3千万円)、有機農産物が14件で同10%に相当する830万ユーロ(約10億6千万円)、牛・子牛肉が9件で同8.1%に相当する670万ユーロ(約8億6千万円)であった。

・ 事業申請国別では、フランス、スペイン、イタリアでEUからの補助額全体の約60%を占めた。


巨大市場中国へのEU農産物の販売拡大

 一方、3月30日〜4月1日に中国の上海市で開催された食品産業見本市-SIAL CHINAにおいてEU加盟国の主要な食品メーカーが、"Tasty Europe"とのテーマの下、EUの農産物の販売促進活動を行った。この見本市には、欧州委員会フィシュラー農業等担当委員が出席しあいさつを行うなど巨大市場中国への販売拡大に向けた意気込みを示した。



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