2003年の食肉生産量は前年比1.7%増
チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、同国の2003年の食肉生産量(牛肉、羊肉、豚肉、山羊肉、馬肉、家きん肉。枝肉換算ベース。以下同じ)は前年比1.7%増の104万1,458トンと3年連続して100万トン台となった。牛肉の減少分を豚肉、家きん肉の増加分が埋め合わせる形となった。
また、1人1年当たりの食肉消費量は、前年を0.8%上回る73.5キログラムと過去最高を記録した。牛肉、豚肉、家きん肉の概要は次の通りである。
牛肉生産量は97年以降連続しての減少
牛肉の生産量は97年以降減少が続いており、2003年も前年比4.1%減の19万1,784トンとなった。これは、生乳価格の上昇やイスラエルやEUへの輸出再開に伴う牛肉価格の上昇への期待から、生産者が雌牛を保留する傾向が続いているためとみられる。
輸入量については、前年比20.1%増の12万2,617トン(冷蔵または冷凍、製品重量ベース)と国内の生産量の減少などから前年を大幅に上回った。また、従来の供給先であったニュージーランド、カナダ、パラグアイ等が、牛肉の国際的な需要増加や衛生問題などからチリ市場から退いたため、主要な輸入先は、ブラジルとウルグアイの2カ国となった。なお、2003年9月の口蹄疫発生により輸入を停止していたアルゼンチンについては、2004年4月末から再開されることになっていたが、5月12日現在まだ解禁されていない。一方、輸出量は、前年比82.8%増の6,443トンとなった。主な輸出先はイスラエルとキューバで、この2カ国で全輸出量の8割を占めている。
豚肉生産量は93年以降一貫しての増加
豚肉生産量は、93年以降一貫して増加傾向が続いているものの、2003年については、前年比4.2%増の36万5,343トンと93年以降の平均9%の増加に比べ、その伸び率は鈍化している。
輸出量は同35.1%増の6万1,604トン(冷蔵または冷凍、製品重量ベース)となり、そのうち日本向けが2万9,572トンと全体の48.0%を占め、韓国(22.2%)、メキシコ(16.5%)と続いている。
家きん肉生産量は増加に転じる
家きん肉生産量は、92年から2001年まで一貫して増加していたが、2002年は5月に発生した鳥インフルエンザにより、15年ぶりに減少に転じた。2003年はやや回復し、前年比2.6%増の46万4,405トン(骨付きベース、以下同じ)となった。
輸出量については、2002年末に輸出が再開されたことから、前年比42.8%増の2万5,210トンとなった。主要な輸出先は、全輸出量の4割を占める中国が1万199トン、メキシコが4,468トン、イギリスが4,092トンなどとなっている。
2004年は個体識別制度の導入が優先課題
チリでは、2001年より生産者、食肉パッカー、ODEPAなど官民一体となり「牛肉輸出運営計画」と呼ばれる取組みが行われている。3月に開催された会議で議長を務めたバレラ農業次官は、「家畜の個体識別システムの構築は、現在では牛肉生産において不可欠とされ、主要畜産国ではすでに実施されているか、あるいは検討中となっている。チリの国内生産にとっての優先課題であることは疑いようがなく、早急に実施することが重要である」とコメントしている。
◎アルゼンチン、次回OIE総会でBSE清浄国に認定される予定
現地報道によると、5月にパリで開かれる国際獣疫事務局(OIE)総会でアルゼンチンを含む4カ国がBSE清浄国に認定される予定であることが明らかになった。4月13〜16日にブエノスアイレス市で開催されたOIEの会議の閉会式においてバラット事務局長がコメントしたもので、アルゼンチンのほかにラテンアメリカ1カ国、北ヨーロッパ1カ国、アジア1カ国がこのステータスを取得するとされているが、国名は明かされなかった。
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