米国内で初のBSE発生(その 8 )


ベネマン農務長官はメキシコによる牛内臓肉などの輸入解禁を歓迎

 ベネマン農務長官は4月9日、メキシコ政府が米国産の牛内臓肉、子牛肉および牛脂を輸入可能対象品目に追加したことについて、北米での牛肉市場が通常の状態に回復しつつある兆候であるとして歓迎する声明を公表した。メキシコは3月3日に30カ月齢未満の牛から生産された骨なし部分肉の米国からの輸入再開を公表していた。

 同日に公表されたメキシコ向けの牛肉輸出証明(BEV)プログラムでは、(1)牛肉および牛肉製品はと畜月齢が30カ月齢未満のもの由来でなければならないこと、(2)先進的機械除骨(AMR)および機械除骨(MR)を用いた肉を含まないこと、(3)内臓のうち、舌、心臓、口唇(Lip)については30カ月齢未満に限定するが、肝臓については月齢の条件は付さないこと、(4)食用牛脂については、原産国表示を行うこと、(5)輸出時の書類には、メキシコ向けBEVプログラムに適合した製品であるとの記述があることなどの条件が付されている。


米国農務省、パッカーによる自主的なBSE検査の承認を見送る

 カンザス州にあるクリークストーン・ファームズ・プレミアム・ビーフ社が米国農務省(USDA)にBSEの急速免疫診断検査の検査施設として承認するよう求めていたことについてUSDAは9日、同社に対し、提案された消費者の安全の観点からのBSE検査の活用は、科学的に正当化されないとして、今回は承認しない旨伝えたことを明らかにした。


NCBAは日本の全頭検査要求に反対

 全米最大の肉牛生産者団体である全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は4月7日、米国内の多くの牛が30カ月齢以下でと畜されており市場戦略の観点からBSEの全頭検査を行うことは、自分たちの牛の安全を保証する上で無意味であるとして、日本が行っている全頭検査要求に対して反対するとの方針を明らかにした。

 また、日本の多くの消費者や食品産業界は米国産牛肉の不足に困惑しており、在庫が底をつき、メニューの変更を迫られているレストランもあることなどから、問題解決のための圧力を加えていくとしている。

 NCBAは、消費者の信頼の確保などに対する措置を講ずることを正当化することは可能であるとしつつも、これと均衡させる形で、会員に対しSRMの除去やダウナー牛の検査などBSEに対する措置による経済的な負担についても情報提供を行っていくとしている。


カナダは牛生体などの早期輸入再開に期待

 カナダのスペラー農業・食糧は4月7日、USDAがカナダからの生体牛などの輸入規則案に対するコメント期間を終了したことについて、北米における貿易の正常化に向けて次なる重要なステップに進んだとして歓迎する声明を公表した。

 ヒラリークリントンら民主党に所属する米国上院議員7名はUSDAに対し、7カ月間で2例のBSEの発生が確認された国からの牛生体および牛肉の輸入を解禁するのは時期尚早であるとして、規則に反対する旨の書簡を送ったことを明らかにしている。

 他方で、食肉の処理業者の団体であるアメリカ食肉協会(AMI)は、USDAに対しカナダからの生体牛、牛肉および牛肉製品の早期輸入再開を求めている。

 


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