豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)による最近の肉牛の生産者販売価格を見ると、豪州国内向けが中心のニューサウスウエールズ(NSW)州若齢牛、日本向けが中心のクインズランド(QLD)州肥育牛、米国向けが中心のQLD州経産牛は、2003年6月以降、おおむね前年同月を上回って推移している(図1)。特に日本向け中心のQLD州肥育牛の価格は、2003年4月から04年1月にかけて供給量の減少などから前年同月よりも平均15%高で推移している。
● ● ● 日本向け牛肉価格が一時急騰 ● ● ●そのような状況の中、米国内で初めてBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されたことから、日本政府は米国からの牛肉の輸入を12月24日に停止した。日本国内では米国産牛肉の代替として、BSE未発生国である豪州産が注目された。MLAによると、牛肉の対日輸出価格はグラス・フルセット(冷蔵)1ポンド当たりの12月中旬の価格は181米セントであったものが、年明け早々には45.3%高の263米セントと急騰した。その他の部位も12月中旬の価格より約2〜4割上昇した。 しかし、1月下旬になると落ち付きをみせ、価格は下がり2月中旬のグラス・フルセット(冷蔵)1ポンド当たりの価格は180米セントとなった。混乱から落ち着きを取り戻しつつあるものの、前年の同時期と比べれば全般的に2割高とまだ高水準であることには変わりない。
● ● ● 1月の対日輸出量は総牛肉輸出量の約5割 ● ● ●豪州農林漁業省(AFFA)によると、豪州の2004年1月の牛肉輸出量(船積み重量ベース)は前年同月と比べかなり大きく減少し、11.0%減の45,965トンとなった(左頁グラフ参照)。このうち、日本向け輸出量は23,701トンと前年同月比の39.9%増となっており、これは同月の牛肉輸出量全体の51.6%に相当する。MLAは、豪州の主要パッカーが本格的に稼動し始めたのが1月中旬以降で、輸出は月後半まで限定的であったが、カナダに続く米国からの輸入停止に伴い、日本市場の牛肉供給を部分的に補う傾向が表れているとしており、短期的には日本市場からの強い需要は継続するとみている。 |
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