2004年は域内供給不足が拡大へ


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産量は20年ぶりに730万トン台にまで減少へ ● ● ●

 欧州委員会の予測によると、2004年のEU(15カ国)の牛肉生産量は、EU最大の牛肉生産国であるフランスやそれに次ぐドイツなど多くの国で飼養頭数の減少が続いていることなどから、20年ぶりの730万トン台(前年比1.0%減)と見込まれている。一方、牛肉消費量は、ほぼ前年並みの740万トン台と見込まれている。この結果、前年から牛肉の純輸入国に転じた域内の牛肉の供給不足分は、10万トン程度に達するとしている。なお、域内の牛肉介入在庫量は消費の回復などから2002年6月から減少し、2004年1月は14トンと解消された。

● ● ● 不足分は南米諸国からの輸入により補われる見込み ● ● ●

 この不足分は、主にEUのさまざまな特恵措置(関税割当制度)を利用したブラジルやアルゼンチンなど南米諸国からの輸入により、補われると見込まれている。2002年のEUの牛肉輸入量(冷蔵・冷凍、製品重量ベース、子牛肉を除く)は、前年比37.9%増の約25万6千トンであったが、その8割を南米産が占めている。また、ブラジルからの輸入量は、年々伸びている。2003年1月〜7月までの牛肉輸入量は、前年同期比8.4%増の29万6千トンとなったが、やはりその8割は南米産であった。近年、南米諸国からは特恵措置を利用しない通常の輸入も増加している。なお、域外からの牛肉輸入量が多い国は、イギリス、ドイツ、オランダなどとなっている。

EUの牛肉の域外輸入量
資料:MLC(イギリス食肉家畜委員会)
「European Handbook」,「European Market Survey」
 注:冷蔵・冷凍、製品重量ベース、子牛肉を除く

● ● ● 米国のBSE発生がEUの牛肉需給にどのように影響するか ● ● ●

 このような中、世界最大の牛肉生産・輸入国であり、豪州に次ぐ世界第2位の輸出国である米国で、昨年12月下旬に初の牛海綿状脳症(BSE)の発生が確認された。EUの米国からの輸入実績を考えると、このことがEUの牛肉需給に与える直接の影響は大きくないとみられるものの、今後どのような形で影響が現れるのか注目される。なお、欧州委員会の中期見通しによれば、2010年までEUは牛肉の「純輸入国」であることが報告されている。


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