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● ● 農家販売価格も回復へ ● ● ●
2003年10月のブロイラー生産は860万羽となり、4月以降前年を上回る状況を継続している。これは中国での鳥インフルエンザの発生など、タイにとって都合のよい状況が継続しているためと考えられる。ひなふ化羽数についても4月以降前年を上回って推移しており、今後も順調な生産が見込まれている。なお、ひなふ化羽数が9月に減少したのは、中国の日本への輸出再開を意識した反応と考えられており、10月には8月水準まで回復している。
農家販売価格は2003年7月にピークを迎えた後、中国からの輸出再開の影響もあって8月から9月にかけて大きく落ち込んだが、10月には回復に向かった。
● ● ● 鳥インフルエンザの発生 ● ● ●東南アジアでは、既に1月13日にベトナムでの鳥インフルエンザによる死亡者が確認されていたが、タイ政府は1月23日、国内における高病原性鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ)の発生を認めた。昨年の11月ごろからタイの中部で鶏の大量死が報告されており、これについて政府は、「主原因は鳥コレラであり、鳥インフルエンザではない。」との説明を行ってきた。 タイ政府の発表の1日前である22日、日本政府はタイからの家きん肉等の一時輸入停止措置を発表しており、その後日本への鶏肉製品の輸出は不可能となった。また、EUはタイ政府の発表を受けた形で同国からの鶏肉輸入を停止した。これと前後してシンガポールなど、他の国も鶏肉等の輸入を停止したため、タイはほとんどの鶏肉製品の輸出が不可能となっている。 タイ政府は感染した家きんおよび感染のおそれのある家きんの殺処分を行っており、1月末時点で76県中29県が殺処分と監視の対象となっている。また、輸出された製品のシップバックが行なわれており、需要の減退とあいまって販路の無い鶏肉製品の在庫が積み上がる状態になっている。政府はイベントの企画等により鶏肉需要を回復させようとしているが、消費者は発表を遅らせるなどのこれまでの政府の対応に不信感を抱いており、その効果は未知数である。 今回の政府発表の遅れは、鳥インフルエンザであることを公表することによって直ちに輸入国から輸入停止の措置を受けるため、いわばサドンデスによる損失を回避するためと言われている。中国やインドネシアにおいても同様のことが行われたとされており、かえって事態の収拾を困難にしている。 今後、早期の原状回復が望まれるが、日本への輸出の再開には、最終発生から90日以上の期間が必要であり、現時点ではその目途の設定は難しい。 |
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