ベルリン国際緑の週間(IGW)/食品産業・農業
および園芸展見本市開催



ひとくちMemo

 ドイツのベルリンで1月16日〜25日の間、 ベルリン・国際緑の週間(IGW :International Green Week)が開催された。 IGWは、1926年に始まり、今回が69回目の開催となる伝統を持つ、世界最大規模の食品産業、 農業、園芸業見本市である。会場は全体で26ホールに分かれ、その展示面積は約11万4千平方メートル (東京ドームの約2.4倍)におよび、世界55カ国から約1,600を超える出展者が集まった。 出展者は、IGWを世界中への販売網を広げるテストマーケットとして利用している。 今年のIGWの入場者は、昨年のそれを2万人上回る延べ約46万6千人であった。 畜産関係では、食肉、乳製品などの食品産業の出展のみならず、最新の畜産技術、 有機食品の紹介など幅広い展示が行われていた。また、今回は、本年5月にEUに加盟する中東欧諸国が、 自国の農畜産物の積極的なPRを行っていた。



 26ホールからなる展示スペース。余りにも広いので、目当ての展示には、 会場のあちこちにある地図がないとたどりつくことができない。


 欧州の各国の特徴を持つ畜産物が数多く出展されていた。



 本年5月にEUが拡大する。新規加盟国、 また拡大することにより隣り合わせとなる国(ロシアなど)は、 市場拡大のため、昨年より展示スペースを拡大して、積極的なPRを行っていた。 (写真左は、新規加盟国の中でも特に広い展示面積であったポーランド、右は、リトアニアの畜産物販売所)

 最近の環境に関する意識の高まりや食に対する多様化を反映し、有機食品に関する展示が昨年の2倍の面積に拡大された。 また有機飼料を給与した家畜から生産された畜産物も多く紹介されていた。



 ベルリン自由大学獣医学部が、牛海綿状脳症(BSE)に関する情報コーナーを設けていた。 牛の特定危険部位(SRM)を示す解剖模型、BSE患畜の脳細胞組織(来場者が自由に顕微鏡を使って見ることが可能)、 BSE検査キット、BSE発症に至る過程、治療法の研究開発内容などについて展示を行うとともに、教授自らがわかりやすく情報を説明し、 来訪者の知識を深める場を提供していた。



 最も大きな展示ホールでは、「ドイツの牛飼育の変遷」と題し、 普段見かけることのない珍しい品種など31種約80頭の牛が展示されていた(写真右上ハイランド・キャトル)。また、同ホールには牛のほか、 豚、羊、家きん、馬のほかミツバチなどの家畜が展示されており、さらに子供達が動物と触れあえるスペースも設置されていた(下)。




 最近の家畜飼養技術を紹介するコーナーがあった。自動搾乳システムの展示では、 牛自らが搾乳室に入り、搾乳ロボットにより自動的に搾乳を行う一連の操作が紹介されており、来訪者は興味深く見入っていた。



 ドイツ連邦消費者保護・食品・農業省は"健康な食事・知的な消費"というテーマで特別展示を行っていた。 このブースでは来訪者に対し、一般に食べられている食品について、その栄養・保存方法・調理法といったことから購入時に参考となるラベルや品質表示の見方、 さらには作物の生産に関する情報を紹介していた。子供向けの食に関する人形劇や化学実験のコーナーが設けてあり、食育に関する取り組みも行われていた。 (左上 チーズの種類別脂肪分含有量の比較、右上 人形劇による子供向けブース)


 ドイツの農業に使用されてきたトラクターを展示。農業を知らない者に、 農業の変遷を理解してもらうための取り組みの一環として、昔から現代までの農業機械の展示が行われていた。


 欧州委員会農業・農村開発総局が、IGWにブースを設けていた。ここでは、共通農業政策(CAP)、 特に農村開発政策に関する情報を提供していた。さらに、農産物の品質、環境保護に関する最近の話題も提供していた。



2005年の本見本市の開催は、1月21日〜30日の予定である。


ブリュッセル駐在員事務所 山崎良人、関 将弘


元のページに戻る