トウモロコシの自給率向上対策
インドネシアの飼料原料の輸入依存率は50〜60%と高く、生産費に占める飼料費の割合が高い養鶏産業においては安定経営の阻害要因となっている。
政府は生産性の高い1代雑種トウモロコシの作付けを今後2年以内に全体の50%に増やすなどの自給率の向上対策により2007年までに完全自給を達成する計画であるとしている。
例えばトウモロコシの生産拡大拠点と目される南スマトラ州の2004年作付け目標は4万2千ヘクタールで、実現すれば2003年実績の3万4千ヘクタールに比べ約23%の増加となる。しかし、同地方ではトウモロコシの作付けは低い利益率のためあまり好まれず、一般的に作付けは年1回、米の収穫の後に行われることが多く、季節的にも偏りがある。
政府の思惑どおりにトウモロコシの自給率を上げるためには育種改良品種の導入による生産性の向上や季節的供給変動を緩和するための貯蔵技術普及のほかに、農家に一定の製品衛生基準を遵守させることにより取引価格の高値安定を担保し、トウモロコシ作付けの意欲増進につなげて行くことが必要となる。これに関連して、国内大手インテグレーターでタイに本拠を置くチャロン・ポカパン(CP)社現地法人のCPインドネシア社はこのほど、2004年の国内産トウモロコシの買い入れを全体の約10%に当たる10万トン程度増やすと発表した。同時にこの条件として、カビ毒の1種であるアフラトキシンの残留基準を定め、この基準を達成できない農家の製品については取引価格を引き下げると公表している。
また、CPインドネシアが国内産トウモロコシの買い入れを強化するとした背景には、従来主要供給国の一つであった中国から輸入されるトウモロコシの急激な価格上昇の影響があり、同社担当者によると2004年の価格は前年に比べ15〜20%上昇する見込みであるとしている。なお、同国の2003年の1月から8月までの中国産トウモロコシの輸入量は71万6千トン、前年同期の73万9千トンに比べやや減少している。
初生ひなの輸入制限の動き
同国養鶏産業は昨年のニューカッスル病による被害の影響などにより未だ混乱が続いている。ASEAN近隣諸国のうちタイとフィリピンは同国産初生ひなおよび種卵の輸入停止措置を行った。その他の輸入国からは輸入規制の動きはなく、主な対象国はブルネイ、マレーシア、ミャンマー、ベトナムで、ASEAN域外ではバングラデシュ、サウジアラビア、ネパールなどがある。
同国農業省畜産総局長は、政府は疾病対策として120万ドースのワクチンを提供したとしており、2003年の初生ひな生産羽数は週当たり2千万羽、年間で10億羽を超えるとしている。
過去2年間の同国の初生ひなおよび種卵の輸出状況は2001年にペアレント・ストック(PS)用が44,731羽、輸出額では9万4千米ドル(約1,015万円、1米ドル=108円)となっており、コマーシャル用では9万8千羽、12万1,000米ドル(約1,307万円)、2002年は同じくPS用が56万9千羽、150万米ドル(約1億6,200万円)、コマーシャルが5万9千羽、4万7千米ドル、となっている。なお、2003年10月までのPS用の実績は49万6千羽、146万米ドル(約1億5,768万円)となっている。
なお、政府による2003年の養鶏産業の成長率見込みは15%に達するとされている。
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