第3四半期日本向け牛肉輸出は大幅増


◇絵でみる需給動向◇


●●●日本向けは前年同期比38.6%増●●●

 豪州農漁林業省(AFFA)によると、2003/04年度第3四半期(1〜3月)の日本向け牛肉輸出量(船積ベース:冷蔵および冷凍)は、前年同期比38.6%増の約8万8千トンとなった。これは、米国での牛海綿状脳症(BSE)の発生による米国産牛肉などの輸入停止措置により、わが国の牛肉需要が豪州に集中したことに起因する。なお、月ごとの輸出量は、前年同月比で1月は39.9%増の約2万3千トン、2月は同46.7%増の約3万5千トン、3月は同29.1%増の約2万9千トンとなった。また、日本に次ぐ輸出先の韓国向けは、日本と同様米国産牛肉の輸入停止措置により、豪州産牛肉へ需要をシフトさせたことから、前年度を36.0%上回る9千トンとなった。

 一方、米国向けは為替相場が米ドルに対して豪ドル高で推移したことに加え、米国のBSE発生による主要輸出相手国の米国産の輸入停止措置により、輸出向け牛肉が米国内に振り向けられたことから、前年同期比11.8%減の6万2千トンとなった。日本およびアジア向けの輸出が大幅に増加する一方で、米国向けの輸出が減少している。

図1 牛肉輸出量 日米韓比較

 

●●●輸出量が輸出価格にも反映●●●

 このような対米および対日向けの対照的な輸出量は、両国への輸出価格にも反映されている。米国向け輸出価格は、2003年11月はキログラム当たり324.4豪セント(約 266円:1豪ドル=約82円)であったが、今年に入って低下し2004年3月には、前年同月を4.7%下回る282.7豪セント(約232円)となった。一方、日本向けの輸出価格は、今年に入って急騰し2004年1月には過去最高の251.0米セント/ポンド(約592円:1米ドル=107円)を記録したが、2月以降落ち着きを取り戻し、2004年3月の時点で175.0米セント/ポンド(約413円)まで下落している。しかし、前年同月比で比較すると、3.6%高となり、依然として高水準を維持し続けていることには変わりない。

図2 牛肉輸出価格の推移

 

●●●日本向け輸出拡大には今後の見極めが必要●●●

 MLA(豪州食肉家畜生産者事業団)によれば、豪州としては、米国のBSE発生に伴う輸入停止措置による国際的な牛肉貿易の混乱から1日も早く通常の状況に戻ることを望んでいるとしつつも、増加する日本の牛肉需要に対応して、牛肉の輸出拡大に最大限努力をする。

 一般に、豪州産牛肉は、日本が米国から輸入している牛肉とは品質が異なっているとされているが、その一部には米国産の代替としてわが国でも需要が見込まれる牛肉(高品質な部分肉)がある。仮に米国産牛肉の輸入停止措置が1年続けば、相当量の牛肉をアジア地域に追加的に供給することが可能であるという。

 ただし、さらなる生産の増加を図るためには相当のコストが必要でリスクも高い。このため、輸出拡大には米国産牛肉の輸入停止措置がいつまで継続するのか見極めが必要となることが、豪州牛肉産業にとって最大の関心事となっている。




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