●●●2004年の生乳・乳製品需要は回復●●●
米農務省(USDA)が発表した2004年の需給見込みでは、2003年は乳価の低迷や農家収益の面で移行期であったとしている。2003年前半は2002年からの乳価の高騰により多くの酪農家の生産が拡大し多くの利益を享受した。しかし、2003年は乳製品需要の低迷から乳製品価格も低調となった。2004年はかなりの変容が見込まれる。すなわち2003年の農家収入の減少を背景に1頭当たりの生産量は増加しているものの飼養頭数は減少傾向となる。一方、低迷していた乳製品需要も通常ベースとなり乳製品在庫が適正水準となり、価格は回復するとしている。
●●●乳製品需要は緩やかに回復●●●
2003年の乳製品需要をめぐる商業利用の構造は例年に比べ大きく変化した。イラク戦争など景気の停滞を受けて消費者の外食支出も減少し、その結果レストランなどの外食需要が多いバターやチーズの需要も低下した。2004年の後半は景気の回復に伴ってレストランなどの外食需要が増加しバターやチーズの需要も堅調となる。一方、食品加工向け原料乳製品需要は過去2年間極めて低調となっている。これら乳製品は、食品の品質を向上させるために用いられるが、その価格が高く消費者の食品への支出は極めて低水準な中、原料乳製品価格が今後高くなる可能性は低い。
●●●生乳生産は引き続き低調●●●
2003年の1頭当たり生乳生産量はわずかに増加したが、過去5年間の平均に比べその伸び率は低くなっている。その要因として、2003年は生乳価格が低迷していたことに加え飼料価格が干ばつの影響などにより高騰したことから生産者の増産意欲が減退したものと考えられる。さらに、もう一つの要因は、2003年は初産の雌牛頭数が多く経営収支を改善するために多くの生産者が乳量増加ホルモン剤(γbST)を使用したものと考えられる。2004年はγbSTの大手供給者であるモンサント社が新規の販売先を増やさないことと現状の販売量を半減させるとしているため2004年の1頭当たり乳量に影響が生じる可能性があるとしている。一方、飼料価格の低下やその品質の良化により2004年全体では、前年比1%増を見込んでいる。
●●●搾乳牛頭数は減少●●●
米国の酪農産業は比較的高収益を得た1996年〜2003年にかけて飼養頭数が拡大したことにより、2003年には更新が短い期間で行われるようになったものの飼養頭数は大きく減少しなかった。しかし、2003年の飼養頭数は第3四半期では1.4%減少した。要因としては経産牛価格が更新用導入牛価格よりも高値で推移したためとう汰が促進されたと考えられている。2004年は1年を通じ搾乳牛が前年対比で2%減少すると見込まれている。
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