バーン委員、欧米間の食品安全問題解決に向け訪米


バーン委員、農相理事会で訪米結果を報告

 欧州委員会のデビッド・バーン委員(保健・消費者保護担当)は3月22日、農相理事会において、欧米間の食品安全問題に関する協議のため、3月18、19日に訪米し、その結果報告を行った。最近、欧米間では、食品の安全性確保等のため、米国における鳥インフルエンザの発生による米国産家きん肉、生体鳥などの欧州への輸入の一時停止措置の実施、フランス産食肉加工品(豚肉加工品、フォアグラなど)の米国への輸入を一時停止する措置などが実施されている。しかし、米国が実施しているフォアグラなどの輸入の一時停止措置についてEUでは、米国産家きん肉等の輸入の一時停止措置への報復であるとの声が出ているなど、欧米間では互いの措置について不適切、不適当である等反論しており、両地域間の新たな問題となっている。バーン委員は、これらの問題について、ベネマン農務長官、ゼーリック米国通商代表部(USYR)代表のほか、衛生当局関係者などと協議するため訪米した。

両地域間の問題解決の向けた意識を認識

 欧米間での協議結果についてバーン委員は、「現在の大西洋を挟んだ食品安全に関する問題について、相互が解決に向け考え方を変えたこと、つまり、問題解決のための古いやり方"しっぺ返し(tit-for-tat)"をやめることが必要であるとわかり、このことを今回は強調してきた。米国政府関係者も同じ考えであり、先方も両地域間の問題の早期解決を期待していることが認識できた」と報告した。

フォアグラ問題は解決に向け前進

 今回協議した具体的な問題の一つとして、米国側のフォアグラをはじめとするフランス産食肉加工品の輸入の一時停止措置がある。これは、米国に輸出ライセンスを持つフランスの食肉加工会社などが、米国の危害分析重要管理点監視方式(HACCP)の基準に適合しないことが明らかとなったため、採られたものであった(海外駐在員情報平成16年3月9日号(通巻616号)参照)。この件に関しバーン委員は、「米国側から解禁に向けて迅速な対応を行う、という約束を取り付けることができた。また、米国衛生当局は、欧州でHACCPのセミナーを実施する考えも明らかにした」と報告している。

米国からの生きた家きんなどの輸入一時停止は延長

 米国のテキサス州における鳥インフルエンザが、高病原性であることが確認されたことを踏まえ、EU側が講じた米国からの生きた家きん、家きん肉、卵およびペット用鳥などのEU域内への輸入の一時停止措置について米国側は、今回の発生は地域が特定されており、輸入の一時停止措置等の対象とする地域とこれ以外の地域に区分すること、つまり、地域区分(regionalization)の導入を要望し、多くの情報の提供を行ってきた。これについて欧州側は、地域区分の導入に向け調査を行っている。

 こうした中、EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は3月22日、米国からの生きた家きん、家きん肉、卵およびペット用鳥のEU域内への輸入の一時停止を4月23日まで延長する欧州委員会の決定を承認した。これは、現在の採られている輸入の一時停止措置が3月23日で期限を迎えるため、再度同委員会において検討を行ったものである。EU側は、米国衛生当局からの情報により調査を行ってきが、まだ米国側が移動制限区域を縮小できる防疫体制ではないとして輸入の一時停止措置が延長されることとなった。


元のページに戻る